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¥4,300,000 (Direct Cost: ¥4,300,000)
Fiscal Year 1987: ¥4,300,000 (Direct Cost: ¥4,300,000)
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Research Abstract |
HIVのウイルス学的性格を明らかにするため,感染性DNAクローンを材料として試験管内で各種の変異株を作製した. 得られた変異株はHIV遺伝子の全てに対応する. これら変異DNAをリン酸カルシウム法でヒト結腸癌由来SW480細胞に導入し, ウイルス粒子形成能を逆転写酵素を測定することによって決定した. その結果, 構造遺伝子(gag,pol,env)に変異のあるウイルスの多くは粒子を形成せず, 調節遺伝子(sor,3′sor)に欠損のあるウイルスは正常に粒子形成が行なわれていた. 残りの調節遺伝子(tat,art)に変異があるとウイルス粒子は全く産生されず, sorと3′sorとは対照的であった. また, その存在が予測されている8番目の遺伝子Rについても変異株を作製したが, 粒子形成は野生株型で正常と思われた. 粒子形成能のある変異ウイルスに関しては, ヒト白血病由来細胞であるMalt4に感染させ, 感染が成立するかどうかを検討した. 現在までのところ, 3′sor,Rを除き感染性はないか, きわめて低いようである. 一方, HIVのLTRの一部を組み込んだマウス白血病ウイルスも作製した. 一つはHIVのエンハンサー, もう一つはtatに反応する領域を組み込ませたものである. 現在, マウス白血病ウイルスの系でこれら二種のウイルスの性格を検討中で, HIV研究の良いモデル系となることを期待している. 今後, 本年度で得られた変異ウイルス,基礎データをもとにして, HIVの増殖機構,各遺伝子の機能, 持続感染成立のメカニズム等を詳細に研究していく予定である.
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