Research Abstract |
学術情報システム構築・展開のために, その全体的枠組みを国際的観点から把握し, その運営課題の解明と具体化の方策を探究し, 学術情報センターにおけるシステム構築に資するとともに, 我が国の学術情報流通の向上を図ることを目的とする. 学術情報センターでは, 昭和60年度(当時は東京大学文献情報センター)以来, 海外における学術情報システムの様相と技術的動向を探るとともに, 各書誌サービス機構の将来動向, データベースの作成機関における現状と展開, 情報検索サービスの動向などの調査分析に努めてきた. 昭和60年度には予備調査として海外における学術情報システムの現状, その構成要素の理解に着手し, 昭和61年度には, その本格化と合わせてデータベースの導入における社会・文化的側面, 具体的には著作権の扱い, データベース提供の条件等に着目した実地調査ならびに協議を実施した. 昭和62年度には, 学術情報センターのネットワークを国際接続する可能性と具体的展開のための検討に重点をおいた調査目的とする. 学術情報システムの構築と展開において国際接続は, 基礎的かつ重要な使命である. 学術情報センターは, 従来, システムの設計開発の全体的枠組みを国際的観点から把握することに努めており, 海外学術調査もその方向性を求めて実施してきた. 昭和62年度の調査は, いずれも学術情報システムの概念的整理と技術的検討のための素材の収集に大きく資するところがあった. すなわち, 目前にせまる学術情報ネットワーク国際接続の相手方の状況調査ならびに技術面, 運営面での予備折衝ともみなすべき意見・情報交換を行った. 「電子メール国際接続」についてカナダのNRCにて欧米各国の通信関係の研究者, 行政担当者と面接, ネットワークと電子メールの接続について事情聴取した. 「学術情報ネットワーク国際接続」についてフランス, 西ドイツ, 英国, 米国のサービスならびに行政機関を訪問し, ネットワーク接続のための回線とノード設置のための相手方事情聴取を行った. 学術情報センターでは, わが国学協会との協力によるデータベース作成事業を進めており, 特に全文データベースについては, 開発課題も多く, また国際交換上の問題点も多いため, 「データベースの作成・提供」について米国の大学・出版関係の諸機関(HBR,BRSほか)にて全文データベースなどの作成方法, ソフトウェア開発状況, 情報検索サービスについて面接, 事情聴取した. 北米では, 東アジア文字セット/コードの処理, 交換流通が極めて活発化しており, 漢字コードの米国規格も審議中である. そのため学術情報ネットワークの国際接続において課題となる東アジア文字セット/コードについて米国内の学術情報ネットワーク・サービスのホスト機関(LC, RLG)にて面接, 事情聴取, 意見交換などした.
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