Research Abstract |
8-キノリノールと2-メチルー8-キノリノールを配位子とするトリス型錯体, トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)とトリス(2-メチルー8-キノリノラト)ガリウム(III), 及び混合配位子錯体, ビス(8-キノリノラト)(2-メチルー8-キノリノラト)アルミニウム(III)と(8-キノリノラト)ビス(2-メチルー8-キノリノラト)アルミニウム(III), の合成と性質について検討を行った. トリス型錯体については従来黄色のものが報告されているが, その他に緑色のものも存在することが本研究において新しく見いだされた. さらに混合配位子錯体についても始めて合成を試みたところ, トリス型錯体と同じく, 黄色と緑色の両種が存在することが判明した. 吸収スペクトル, ^<13>C-NMR(核磁気共鳴吸収)スペクトル, その他によるキャラクタリゼーションの結果, 黄色異性体は8-キノリノラト部分がmeridional型に配位した(中心金属に対して)normalな錯体であるのに対し, 緑色異性体は中心金属のまわりにmeridional型に配位した2座配位子の複素環窒素原子と中心金属との間に電荷移動が生じ, 8-キノリニウムオラトの形で存在するbetaine型の錯体であることが分った. 黄色異性体と同じく, 新しく見いだされた緑色異性体蛍光スペクトルを発し, いずれも励起極大波長は380〜390nm, 蛍光極大波長は500〜520nmに生じる. 蛍光は緑色系統でかなり強く, 無機蛍光体としての利用可能性が示唆される. これらの金属錯体の蛍光スペクトル特性は, 配位子の複素環への電子供与性置換基または電子吸引性置換基の導入, 中心金属の電気陰性度の変化などを組み合せることにより制御することができることが判明した.
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