Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押田 芳治 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助手 (10169295)
井口 昭久 名古屋大学, 医学部第三内科, 助手 (20109763)
宮村 実晴 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (40019576)
坂本 信夫 名古屋大学, 医学部第三内科, 教授 (70023760)
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Research Abstract |
肥満, 糖尿病等いわゆる成人病に対する運動療法の理論的背景について, トレーニング効果を中心に検討を加えた. 1.臨床的研究 成人病患者にeuglycemic insulin clamp studyを行った. その結果, 肥満糖尿病患者(14名)のグルコース代謝量(mg/kg/min)は, 3.3±0.3, 単純性肥満者(16名)では3.7±0.5と健常非肥満者(30名)の7.4±0.2よりいずれも有意に(両者ともP<0.001), 低下していた. 一方, 鍛練者(19名)では10.8±0.5と有意に(P<0.001)増大していた. そこで, 乳酸測定装置により各人の乳酸閥値を求め, lactate threshold よりやや低い運動量(最大酸素摂取量の40〜50%)の運動負荷を週3〜4回, 各々30分, 約8週間のトレーニングを実施したところ, 平均体重は88.0±3.5kgから78.6±2.7kgへと, 9.4±2.3kg減少した(P<0.001). グルコース代謝率(ml/kg/min)は, 2.7±0.3から, 55.2±0.8へと約2倍に増大し, インスリン感受性改善に及ぼす, physical training の有効性が確認された. 2.動物実験成績 Wistar系ラットの副腎髄質を破壊(adrenodemedulation, ADMX), 約1ケ月, 自由運動装置にてトレーニングを実施し, 前後でeuglycemic clamp studyを行った. ADMX群のグルコース代謝量(mg/kg/min)は12.2±0.5と対照群, 8.6±1.1に比して有意に(P<0.02)増大していた. 疑似手術を行いトレーニングを行ったSHAM-T群では, 11.8±0.3と対照群より増大していたが, 髄質破壊を行いトレーニングを行ったADMX-T群では, 17.0±0.7と他の3群よりいずれも有意に(P<0.001)増大していた. 以上の事実は運動トレーニングに伴うインスリン感受性改善に, エピネフリンが負の要因となりうる可能性を示唆している.
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