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¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 1987: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Research Abstract |
星間雲から原始太陽系星雲への深化の過程で, 氷の凝縮・蒸発が繰り返しおこっている. この過程で物理的, 化学的分別が進み多様な氷が形成される. 従来はこの過程の解析に平衡凝縮理論を用いていたが, 最近速度論的効果の重要生が理論的に示された. しかし, 彗星や外惑星の起源にとって重要な氷についての実験的研究はほとんど行われていない. そこで本年度は, 氷の凝縮・蒸発を議論する場合の基礎データとなる蒸気圧の測定と, 2成分系の氷の蒸発実験を行なった. 1.実験装置……設備備品費で購入した真空チェンバーに現有のHeガス冷凍機, 四重極型質量分析計, 電子銃などを取り付けて, 氷の凝縮・蒸発実験装置(10〜300K, 10^<-6>Pa)を製作した. また消耗品費を用いて2成分ガスの混合装置を製作した. 2.蒸気圧の測定……低温の基板上に凝縮したH_2OおよびCO_2の温度上昇にともなう蒸気圧の変化をラングミュア法で測定した. いずれの場合も, アモルファス氷の蒸気圧は結晶の蒸気圧より1桁から4桁ほど大きく, さらに凝縮温度や凝縮速度に大きく依存して変化することが明らかになった. これまではアモルファス氷の凝縮・蒸発を結晶の氷の蒸気圧をもとに議論していたが, 今回の測定により凝縮・蒸発温度がかなり低下することが明らかになった. また, 新彗星からの大きなH_2Oガスの蒸発量も, 説明可能となっか 3.2成分氷の蒸発過程……10Kで凝縮したH_2O-COおよびH_2O-CO_2氷の温度上昇にともなう蒸発ガスの測定をおこなった. COおよびCO_2はそれぞれの平衡凝縮温度, アモルファスH_2Oの結晶化, 六方晶系氷の蒸発の3段階で複雑に蒸発し, 平衡凝縮論には従わないことが明らかになった. したがって, 彗星からの蒸発ガスの分析から彗星の形成領域を推定するのは困難であることがわかった.
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