Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
酸化・還元が関わるタンパク質や金属錯体の機能活性化機構に関する分子シミュレーション手法を開発し、光合成系II(PSII)及びそのアナログ金属錯体の酸化状態生成に関する理論的研究を行った。我々が開発したQM/MM 自由エネルギー構造最適化法である QM/MM RWFE-SCF 法を用いて、酸化・還元による反応活性部位の複雑な電子状態・構造遷移を非経験的量子化学(QM)法に基づきパラメータフリーで精度良く記述し、更にそれに相関するタンパク質の大域的な構造変化を長時間の分子動力学(MD)法により記述することにより、分子機能活性化に関する電子状態と分子ダイナミクスの統一的な理論的解析を行った。以下に、研究成果の詳細を述べる。1. PSII のプロトン化状態の同定 PSIIが糖脂質膜環境に埋め込まれたシミュレーション系を用いて、マンガンクラスターを中心とする反応活性部位を非経験的 QM 領域とした QM/MM 自由エネルギー構造最適化計算を行い、S1 及び S2 状態の 8 個の酸化/プロトン化状態モデルに対して酸化エネルギー及びプロトン化エネルギーをパラメータフリーで直接計算することにより、プロトン化状態の同定に成功した。反応活性部位とタンパク質環境の相互作用の解析により、タンパク質の酸性・塩基性側鎖がつくる電荷の影響と媒質の再配向エネルギーの両者の適切な記述が必要であることを見出した。2. 人工マンガンクラスタ錯体の酸化過程の解析 PSII の反応活性部位に類似の人口マンガンクラスター錯体の酸化過程に関して、QM/MM RWFE-SCF 法を用いて解析した。アセトニトリル溶媒中の S1 及び S2 状態の自由エネルギー最適化構造を決定すると共に、酸素発生反応の基質分子である水分子の配位をアセトニトリル・水混合溶媒の拡張アンサンブル MD シミュレーションにより解析した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2019 2018
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (21 results) (of which Int'l Joint Research: 10 results, Invited: 11 results)
Biophysical Journal
Volume: 115 Issue: 7 Pages: 1281-1291
10.1016/j.bpj.2018.08.024