Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
現在,生体内の代謝反応は,主に一枚図の「代謝マップ」に集約される化学反応の組み合わせとして理解されているが,実際の細胞内では,夾雑環境にある細胞内において,異なるオルガネラ,相分離状態などの,異なる「場」において化学反応が起こることが,細胞全体での代謝過程の制御を可能にしていると考えられている.本研究では,細胞内で代謝反応が起こる「場」を,有機小分子を添加することによって任意のタイミングで迅速に制御するケミカルバイオロジーの実験系を用い,このような局所代謝の生物学的意義の解析を進め,疾患と関わる細胞内代謝異常の本質的な理解を与えることを目指す.
本研究課題では、がん細胞における特異な代謝活性の変化を蛍光シグナルによって可視化することを可能とする新たな方法論を開発し、多くのがん細胞がエネルギー産生に利用する解糖系、グルタミン代謝を制御する薬剤候補化合物の探索をおこなった。細胞内の夾雑環境下で特定の代謝活性を検出することは非常に困難な課題であったが、生きた細胞に特定の代謝物をinputとして添加し、これが代謝された先に細胞外への放出量が変化するoutput代謝物を選択的に検出するcoupledアッセイ系を開発することで、蛍光シグナルの増大により生きた細胞における代謝活性を評価する仕組みを確立した。これを用いて1,200種類の化合物ライブラリを用いてがん細胞の代謝活性を制御する薬剤のスクリーニングをおこなった結果、抗がん剤として用いられているregorafenibががん細胞のグルタミン代謝を顕著に抑制する活性を有すること、その殺細胞能がグルタミン代謝阻害に大きく依存することを明らかにした。これは、本抗がん剤の効果を適切に理解するための重要な知見を与える成果であり、更なる薬剤スクリーニングを通じてより強力な抗がん剤候補化合物の取得が可能となることが強く期待される。本研究成果は、Cell Reports誌に掲載された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020
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Cell Reports
Volume: 36 Issue: 1 Pages: 109311-109311
10.1016/j.celrep.2021.109311
Science Advances
Volume: 7(47) Issue: 47
10.1126/sciadv.abg8585
EMBO reports
Volume: 22 Issue: 3
10.15252/embr.201949097
The Plant Cell
Volume: 32 Issue: 10 Pages: 3081-3094
10.1105/tpc.20.00439
Journal of the American Chemical Society
Volume: 142 Issue: 37 Pages: 15644-15648
10.1021/jacs.0c05331
The Analyst
Volume: 145 Issue: 23 Pages: 7736-7740
10.1039/d0an01739f