過去約100年のイネの遺伝的改良は高CO2濃度への応答性を高めたか?
Publicly Offered Research
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
22114515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
長谷川 利拡 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 上席研究員 (10228455)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
Fiscal Year 2011: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2010: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
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Keywords | イネ / 開放系大気CO2増加 / 気候変化 / CO_2施肥効果 / 遺伝的変異 / 品種改良 / 開放系大気CO_2増加 |
Research Abstract |
イネの交雑育種が組織的に行われるようになって100余年が経過した。この間に大気CO_2濃度はおおよそ80ppmも上昇したが、これまでの品種改良によって高CO_2濃度に適応した品種が作出されてきたかは明らかではない。今後さらに大気CO_2濃度の上昇が予測される中、これまでの品種の変遷と高CO_2に対する応答性との関連を明らかにすることは、将来の育種の方向性を検討する上で重要である。そこで、過去約100年間の遺伝的改良が高CO_2に対する応答に与えた影響を圃場条件で明らかすることを目的に、茨城県つくばみらい市のFACE実験施設で高CO_2処理(外気+200ppm)を2か年行い、明治時代から現在までに育成された新旧主要イネ品種の収量応答を比較した。供試品種は愛国(1882年品種登録)、農林8号(1934年)、コシヒカリ(1956年)、アキヒカリ(1976年)、あきだわら(2009年)の5品種である。 籾収量はFACEにより有意に増加した(p=0.03)。FACEによる収量の増加率は、2ヵ年ともに農林8号が最も高く、アキヒカリが最も低かった。登録年と収量増加率の関係では、現代品種のあきだわらを除き、旧品種(愛国、農林8号)と新品種(コシヒカリ、アキヒカリ)を比較した場合、旧品種の収量増加率が高かった(p=0.01)。収量構成要素では、単位面積あたりの穂数の増加率が旧品種ほど高い傾向がみられたのに対し、1穂籾数の増加率は新品種ほど高い傾向がみられ、これまでの遺伝的改良によりCO_2増加に対する応答が穂数の増加から穂のサイズの拡大に移行したことが示された。登熟歩合の増加率は、粗籾収量と同様の傾向であった。稔実籾数に登熟籾1粒重を乗じて計算した登熟シンクキャパシティーと実収量との間には、年次・品種・CO_2処理にかかわらず非常に高い正の相関がみられた。この結果から、シンクサイズのCO_2応答性が収量応答を決定していたと推察された。
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Report
(2 results)
Research Products
(19 results)