Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究では、量子計算のリソースとして重要な「グラフ状態」と呼ばれる多体エンタングルメント状態を、冷却リュードベリ原子が持つ相互作用を用いて、自然な時間発展により生成する実験を行う。光ピンセット配列中に捕捉された冷却ルビジウム原子を、パルスレーザーにより励起し、原子間に長距離相互作用を誘起することで、原子配列に対して一斉に大規模なエンタングルメントを生成しグラフ状態を作る。グラフ状態生成に最適な電子状態や状態操作、グラフ形状を明らかにする。さらに、個別にアドレス可能な1量子ビットゲート操作および個別原子観測を実装し、生成した状態の忠実度を検証するとともに、測定型量子計算への応用可能性を探る。
本年度は、原子間相互作用時間を制御するためのパルスレーザー用ディレイラインの開発を行った。ディレイライン開発においては、原子間相互作用の大きさに依存して適切な相互作用時間が必要であり、それに従って相互作用の開始・終了に対応する励起・脱励起のための2発のレーザーパルス間の時間間隔の調整が求められる。遅延時間を調整できる光学系として、ヘリオットセル型のディレイラインの開発を行い、ミラー間でのレーザーの反射回数を光学系の調整により制御できることを確かめた。当初の目的であるグラフ状態の生成には至らなかったが、昨年度開発したリュードベリ励起技術と低ノイズ測定技術、および今年度開発した相互作用時間制御用のディレイラインを組み合わせることで、当該実験が可能となる。これらに加えて、本研究で検討したリュードベリ励起とリュードベリ状態間相互作用の知見を活用し、東京理科大学の國見昌哉氏との共同研究でリュードベリ原子系を用いた新奇スピン系の理論提案を行った。リュードベリ状態間をカップルさせるレーザー光の位相を適切に制御することで、ジャロシンスキー・守谷相互作用を実験的に実装可能であることを示した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2024 2023
All Presentation (4 results) (of which Invited: 1 results)