Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
選択的レーザ溶融法により作製した積層造形Ti-6Al-4V材において,酸素固溶量の僅か数百ppmの差が柱状組織⇔ランダム配向を有する微細結晶組織)を招くことを見出した.これを誘発する固溶酸素の役割を解き明かすことで,必要とする造形組織形成に合わせて原料粉末を選定する新奇な積層造形基盤技術の構築を目指すとともに,上記のフィジカル空間で得られた成果・知見を,サイバー空間での造形組織形成に資する最適造形条件予測技術の高精度化に展開する.
レーザー粉末床融合法により作製した金属材料は強く配向した柱状組織を持つことが知られている。このような強配向組織の形成はチタン合金においては、βチタンに限られており、αチタンでは微細針状組織を形成する。これは、冷却時のβ相からα相への相変態時のマルテンサイト変態に起因している。これに対し、私たちは成分とLPBF条件を最適化することで、αチタン合金においても底面が強く配向した柱状組織を形成することに成功した。これについて、詳細な組織解析と実験的検証により、本組織の形成機構を調査した。組織形成機構として粒成長を考え、針状粒の粒成長挙動のその場観察を行った。その結果、粗大な結晶粒が微細針状粒群を取り込んで粒成長する様子が確認された。これらの結晶粒は、元となった結晶粒と同じ配向を示した。LPBF過程においては、溶融池の下部に高温となる熱影響部が形成される。この熱影響部にて柱状粒が微細針状粒を取り込むように上部に向かって成長した結果、柱状組織を形成したと考えられる。次に、これらの柱状粒が底面配向を獲得した機構について検討すべく、柱状粒の形成初期について解析を行った。柱状組織の形成初期は様々な配向を持つ結晶粒が入り混じっていたが、造形を進めるとともに底面配向を示す結晶粒が目立つようになった。ここで、各結晶粒について柱状粒の成長方向とhcpの結晶格子の関係を確認すると、成長方向に対して、c軸が平行となっている結晶粒とa軸が平行となっている結晶粒の2種類の結晶粒が存在することが分かった。また、造形が進むにつれて成長方向に対して、c軸が平行となる結晶粒が支配的となった。これは、a軸方向の粒成長速度と比較して、c軸方向の粒成長速度が大きいためと考えられる。粒成長方向とc軸が一致するとき、造形方向に対して底面配向を示す。このために、柱状粒の結晶配向として底面が選択されたものと結論付けられる。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023
All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)