Photodesorption of radicals from the surface of icy grains: Esploration for the radical sources to the gas phase
Publicly Offered Research
Project Area | Next Generation Astrochemistry: Reconstruction of the Science Based on Fundamental Molecular Processes |
Project/Area Number |
23H03982
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柘植 雅士 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60454211)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥13,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000、Indirect Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | 氷星間塵 / 星間分子雲 / ラジカル |
Outline of Research at the Start |
星間分子雲等の低温環境下での化学進化において、反応性の高いラジカル種は重要な役割を果たす。氷星間塵表面では多くのラジカルが化学反応で生成されると考えられている。これらのラジカルは何らかのプロセスで気相中に脱離し、気相における化学進化に大きな影響を与えると考えられるが、その詳細はブラックボックスになっている。近年、研究代表者らは氷星間塵に吸着したOHラジカルが、可視光を吸収し効率的に脱離しうることを実験により初めて見いだし、ラジカル種の光脱離というこれまで手つかずの素過程の研究に道を拓いた。本研究では、ラジカル光脱離過程の詳細を定量的に調べ、化学進化に与える影響について一定の知見を得る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
星間分子雲等の低温環境下での化学進化において、反応性の高いラジカル種は重要な役割を果たす。氷星間塵表面では多くのラジカルが化学反応で生成されると考えられている。これらのラジカルは何らかのプロセスで気相中に脱離し、気相における化学進化に大きな影響を与えると考えられるが、その詳細はブラックボックスになっている。近年、研究代表者らは氷星間塵に吸着したOHラジカルが、可視光を吸収し効率的に脱離しうることを実験により初めて見いだし、ラジカル種の光脱離というこれまで手つかずの素過程の研究に道を拓いた。本研究では、ラジカル光脱離過程の詳細を定量的に調べ、化学進化に与える影響について一定の知見を得ることを目的とする。 2023年度には、氷表面のOHラジカルを対象として、紫外ー可視域(310-700 nm)の光子による光脱離効率を、以下の手順により決定した。非晶質H2O氷表面に重水素ランプにより生成させたOHラジカルを、波長可変OPOレーザー(310-700 nm)により光脱離させ、脱離してくるOHラジカルを共鳴多光子イオン化法でイオン化し飛行時間型質量分析計で検出した。光脱離用レーザー光強度(1パルス当たりの光子数)で規格化したOHラジカル信号強度を光脱離効率とした。光脱離効率は400 nm近傍に極大を持ち、波長が長くなるに従って減少していくことがわかった。 光脱離効率は「光吸収断面積・脱離の量子収率・OHの吸着状態分布」から決まるため、この測定のみでは波長依存性の起源を説明することはできない。そこで、光吸収断面積と脱離の量子収率の積で表される「光脱離断面積」を測定した。その結果、光脱離効率と光吸収断面積の波長依存性は非常に良い一致を示すことがわかった。本結果は、脱離の量子収率が波長に寄らず一定とするならば、氷表面に吸着したOHラジカルの紫外ー可視吸収スペクトルが測定されたことを意味する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募時の研究計画通り、2023年度中にOHラジカルの光脱離効率の波長依存性を定量的に評価することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って研究を進める。 (1)OHラジカルの脱離機構を素反応過程の観点から明らかにする レーザー分光により、紫外ー可視域の光によって脱離したOHラジカルの内部状態(振動・回転状態)を明らかにする。光吸収、及び、その後の脱離過程を量子化学的に解釈することで、光脱離によって他のラジカル種が気相へ放出されるか否かを検討するための基礎とする。 (2)他のラジカル種への展開 光脱離過程は電子励起状態の関与する複雑なものである。OHラジカルに対する計測のみでなく、他のラジカル種について脱離種の内部状態を実験的に調べることで脱離メカニズム解明に迫る。例えば、NH2ラジカルは曲がった電子基底状態と直線型の第一電子励起状態を持つため、想定している第一電子励起状態経由の脱離ならば、変角振動が励起されたものが検出される。 2023年度中に研究代表者らは、氷表面上に物理吸着した炭素原子が、OHラジカルと同様に、532nmの光を一光子吸収して脱離することを見出した。また、光脱離の波長を355nmに変更するとその効率が大きく下がる点が、OHラジカルの場合と真逆の傾向で興味深い。そこで、炭素原子源を光パラメトリック発振器が利用可能な装置に移設し、紫外ー可視域における光脱離効率の決定を試みる。OHラジカル、炭素原子に共通するのは、孤立状態において可視域の光を吸収しないにもかかわらず、氷表面に吸着すると可視域の光を吸収するようになる点である。炭素原子についての光脱離効率の測定結果と量子化学計算を併せることで、光吸収波長の大幅な赤方偏移に関する知見を深める。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)