2015 年 50 巻 3 号 p. 445-450
本研究では,地域住民のシビックプライドを育成するためのコミュニケーション施策として,住民参加型・回覧型「思い出マップ」を提案し,本マップづくりの実施による効果を実証的に検討することを目的とした.この目的の下,愛媛県四国中央市妻鳥町の住民を対象として,同地区を代表する地域資源である「棹の森」を題材とした「思い出マップ」づくりを実施した.その上で,本マップづくりへの参画が,地域住民におけるシビックプライドの醸成や新旧居住者間の意識の共有化に及ぼす効果を検証することとした.その結果,本取り組みを通じて,地域住民における棹の森やまちに対する誇りや愛着意識が向上すると共に,新旧居住者間の棹の森やまちに対する意識の相違が低減する傾向が確認され,本提案手法が地域住民のシビックプライドを醸成する上で効果を持ち得ることが認められた.