研究実績の概要 |
平成27年度は質量顕微鏡法によりリポクオリティの変化を解析した。静岡大学との共同研究で運動によって骨格筋においてリン脂質のリポクオリティが変化し、それにはPGC-1αが関与していることを発見した(Senoo N et al., 2015)。また、産婦人科との共同研究で胎盤血流障害におけるスフィンゴ脂質のリポクオリティの病的な変化を見出した(Yamazaki K et al., 2015)。外科との共同研究で腹部大動脈瘤におけるリポクオリティの動態解析を解析した(Tanaka et al., 2015; Tanaka et al., 2015)。東大等との共同研究で腸管で作用する脂質メディエーター17,18-EpETE動態の変化(Kunisawa et al., 2015)を明らかにした。加えて、本年度はリポクオリティの可視化に有用となる新規質量顕微鏡解析法を開発し、硫酸アンモニウム添加によるリン脂質の検出感度向上法を開発した(Sugiyama et al., 2015)。さらに線虫におけるリポクオリティ可視化に適した質量顕微鏡解析法を開発した(Hameed S et al., 2015)。 また、エンバクの青色光受容体タンパク質を用い青色光で細胞内脂質を操作する実験系の立ち上げを行った。遺伝子導入を行う細胞については、チャンバーシステムを用いて、神経細胞体と軸索との区画分けを可能とする初代培養系の立ち上げを行った。光操作を行う顕微鏡システムについても、高解像度での細胞内の局所的な青色光の照射、およびヘテロ二量体の結合、乖離をリアルタイムでの観察、記録を可能とするシステムの立ち上げを行った。
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