計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
スギ花粉抗原Cry j 1由来の、N末端側隣接領域(NF)4残基を含む13残基のペプチド(NF-pCj1)と、HLA-DP5との複合体構造に基づいて、T細胞活性化に重要なHLA-DP5の6量体構造を解明し、このクラスタリングがTCR活性化を著しく増強していることを明らかにした。さらに、HLA-DP5の6量体構造に結合するTCR側の多量体構造を明らかにした。このTCR多量体構造の形成は、T細胞活性化に至るHLA-II・TCR複合体に普遍的であり、ネオ・セルフを基礎付ける構造的実体であると結論された。
従来は、T細胞活性化において、HLAおよびTCRのそれぞれが多量体化することの重要性は示唆されていたが、その直接的な検証と、立体構造的な実体は不明であった。本研究の成果として、「ネオ・セルフ」とは、TCRを強く活性化できる状態であり、その実体は「HLAとTCRの相互作用が、HLAの多量体とTCRの多量体との相互作用が可能になるペプチド提示様式」であると結論された。これにより、獲得免疫の中核である抗原提示の実体が解明されたことになり(学術的意義)、自己免疫疾患における抗原提示機構の理解に基づく治療、有効な感染症ワクチンやがんワクチンの設計・開発等に役立つと期待される(社会的意義)。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
Blood
巻: 131(7) 号: 7 ページ: 808-817
10.1182/blood-2017-08-801449
http://www.tokyo-med.ac.jp/neoself/index.html