研究領域 | ハイエントロピー合金:元素の多様性と不均一性に基づく新しい材料の学理 |
研究課題/領域番号 |
18H05453
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾方 成信 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20273584)
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研究分担者 |
都留 智仁 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (80455295)
下川 智嗣 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40361977)
久保 百司 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90241538)
青柳 吉輝 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70433737)
弓削 是貴 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70512862)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
199,940千円 (直接経費: 153,800千円、間接経費: 46,140千円)
2022年度: 36,010千円 (直接経費: 27,700千円、間接経費: 8,310千円)
2021年度: 42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2020年度: 43,550千円 (直接経費: 33,500千円、間接経費: 10,050千円)
2019年度: 36,920千円 (直接経費: 28,400千円、間接経費: 8,520千円)
2018年度: 41,210千円 (直接経費: 31,700千円、間接経費: 9,510千円)
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キーワード | ハイエントロピー合金 / 力学特性 / 計算材料科学 |
研究実績の概要 |
本年度は、計画班および領域全体の目標達成に向けて以下の研究を実施した。 ①ハイエントロピー合金中の短距離秩序構造形成動力学解析手法の構築 ②第一原理計算によるFCCハイエントロピー合金のSi添加の効果に関する検討 ③ハイエントロピー合金の粒界移動における動的偏析と原子ドラッグの影響 ④ハイエントロピー合金の応力腐食割れに関する反応分子動力学シミュレーション ⑤CrMnFeCoNi系等原子量ハイエントロピー合金の双晶誘起塑性に関する力学応答モデリング ⑥ハイエントロピー合金の熱平衡状態における非線型性の幾何学的考察 以上の研究により、次のことが明らかになるかもしくは達成された。 ①アニーリング中の短距離秩序構造の形成動力学を、計算によって予測的に解析する手法を確立した。②FCC構造を有するHEAがSi添加により強度と延性が向上するメカニズムを明らかにすることができた。③等モル組成のFeNiCrCoCu系ハイエントロピー合金(HEA)の粒界移動はCu偏析状態をドラッグしながらの移動となるため抵抗が生じることがわかった。④反応分子動力学シミュレーションReaxFFを用いた腐食環境中におけるAl30Fe50Ni20合金の引張りシミュレーションから、粒界角度によって腐食が力学特性に与える影響の大小が決まることが明らかになった。⑤晶境界の影響を導入することによって双晶境界が巨視的な力学特性に与える影響を表現する双晶誘起塑性変形モデルを構築した。⑥トロピカル幾何学および情報幾何学に基づき、熱平衡状態におけるHEAの原子配置と多体相互作用の間の複雑な非線型の対応関係を構造自由度の観点から多角的に考察し、非線型性は自由度への拘束の強さや自由度間の相互作用(もつれやその非加法性)の寄与に定量的に分解できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年も特に近年着目されている短距離秩序構造に着目し、その形成速度を解析する技術を開発した。さらにはそれをもちいて短距離秩序構造を制御するための制御マックを構築できた。またそれに加えて粒界偏析の効果を解析やマイナーな元素添加による力学特性の向上の要因を明らかにするなど予定を上回る結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次年度は、4月中旬に計画班の合宿形式の研究連携打ち合わせ会議を実施し、各自の研究の進捗を互いに把握し、年度内に実施する研究内容の詳細と計画班内外との連携方針を議論する。全体的な方針としては、短距離秩序に関する解析やそれを記述する理論の更なる深化、粒界偏析やそれによる粒界特性変化の解析、これまでに得られた原子論的解析からの知見を反映した結晶塑性解析をさらに推進し、ハイエントロピー合金の力学特性の根源的解明に向け、計画班全員が一丸となって連携し研究を進展させる。それとともに、領域内の他計画班や公募研究との連携をこれまでにも増して積極的に進めていく。
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