研究領域 | ニュートリノで拓く素粒子と宇宙 |
研究課題/領域番号 |
18H05541
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 修 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 特任講師 (20377964)
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研究分担者 |
小川 了 東邦大学, 理学部, 教授 (10256761)
青木 茂樹 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (80211689)
小松 雅宏 名古屋大学, 教養教育院, 准教授 (80345842)
有賀 智子 (古川) 九州大学, 基幹教育院, 助教 (00802208)
森島 邦博 名古屋大学, 理学研究科, 特任助教 (30377915)
渋谷 寛 東邦大学, 理学部, 教授 (40170922)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
103,350千円 (直接経費: 79,500千円、間接経費: 23,850千円)
2022年度: 21,060千円 (直接経費: 16,200千円、間接経費: 4,860千円)
2021年度: 21,060千円 (直接経費: 16,200千円、間接経費: 4,860千円)
2020年度: 17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2019年度: 17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2018年度: 26,650千円 (直接経費: 20,500千円、間接経費: 6,150千円)
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キーワード | 原子核乾板 / ニュートリノ / 精密測定 / エマルジョン / エマルション |
研究実績の概要 |
名古屋大学物理F研究室内に大規模原子核乳剤製造装置を立ち上げ、ニュートリノ実験等で用いる原子核乳剤の供給体制構築が本課題である。2020年度までに一連の乳剤製造装置群での工程の流れが構築された。今(2021)年度は実際にCERN-DsTau実験で用いる原子核乳剤製造を連続的に行い、7月末までに原子核乾板フィルム総面積、110平米を作成した。 これに向け自動塗布装置で塗布した原子核乾板の保管、ロール状に作成されたフィルムから25cmx20cmの定型フィルムへのカット作業の効率化を図った。11月に乳剤製造装置が故障し、その原因究明及び修理に時間を費やしたため、カット装置の選定、作業の効率化は繰り越して行った。 実験終了後のフィルムは現像され、飛跡読み取り装置で読みだす(スキャン)が、一般に、スキャンする前に現像後のフィルム表面に析出した表面銀、をふき取る必要がある。原子核乳剤塗布時に、薄い保護層で表面をコートすることで表面銀の析出を抑えることをねらい、塗布試験を行った。原子核乾板フィルムに保護層をコーティングすることはできたが、現像後の表面銀が完全にはなくならなかった。ロールに巻き取るときのセパレータを色々試し、表面銀がでないものがあることがわかった。保護層の下に表面銀が析出すると、表面銀を取り除くことが余計に困難になるため、完全に表面銀をなくす必要がある。このため、安定して表面銀が発生しない保護層の作成には更なる試験が必要である。 一方、より高速に飛跡を読み取ることができる次世代の飛跡読み取り装置(HTS2)では画像のコントラストが落ちるが、臭化銀結晶を大きくすることでこれを克服する。大きな結晶の原子核乳剤を安定して作成できることを確認した。また通常サイズの臭化銀結晶の原子核乾板フィルムでも現像手法を変更することHTS2で読みだす試験を行い、検出効率改善する現像手法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際の実験で用いる原子核乳剤の生産を週に1バッチのペースで開始し、順次効率化を図り週2バッチの生産ペースで数か月の継続的な稼働を維持することができた。長期間連続稼働することで、廃液処理の流れ、薬品管理、製造後の原子核乳剤の保管、塗布装置への乳剤の運搬、塗布後の原子核乾板フィルムの定型サイズへのカット作業、出荷までの原子核乾板フィルムの保管管理など一連の工程を流して、効率化に向けた問題点を洗い出すことができた。これらの作業の効率化により、原子核乳剤製造を長期安定して回せる週2バッチ製造体制ができた。本研究課題で産出した原子核乾板をCERN-DsTau実験で使うために110平米供給でき、DsTau実験はビーム照射・現像を終え、原子核乾板スキャン・解析に入ることができた。また今年度後半に乳剤製造装置が故障したため、故障原因究明、修理で遅れが生じたが、連続生産をし続けつつ、週に4バッチ生産体制への移行を図っている。 2022年度の原子核乾板フィルム納入に向け、この生産能力向上と原子核乾板製造スケジュールを修正することで必用量は生産可能であるため。
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今後の研究の推進方策 |
原子核乳剤製造装置を週に2日で長期連続稼働することができている。今後は、週4日の乳剤製造装置を安定して稼働させることで乳剤製造能力を2倍にする。この製造能力増強により、2022年度に予定されているCERN-DsTau実験、CERN-LHC-FASER実験、気球によるγ線観測ーGRAINE 実験で用いる原子核乾板、合計で約500平米程度を製造する。 このため、原子核乳剤製造工程、その他の工程の作業の効率化をはかる。特にパートタイム作業員ができる作業はパートタイム作業員に任せて、研究者が行ってきた作業を順次減らしていく。そのためのパートタイム作業員の増員、マニュアル整備を行う。 現像後に表面銀が発生しない保護層の作業レシピを完成させ、現像後の原子核乾板から表面銀をふき取る作業をなくす。 大きな結晶サイズの原子乾板の感度(GD)、ランダムなノイズ銀(FD)評価、長期保管性能の試験・改善を行う。また実験前に不必要に蓄積された飛跡の潜像を消す、リフレッシュが大粒子乳剤でも機能するかどうか確認し、原子核乳剤に添加する薬品を調整することでこれらの性能を改善する。
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