研究領域 | 超地球生命体を解き明かすポストコッホ機能生態学 |
研究課題/領域番号 |
19H05683
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中井 亮佑 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90637802)
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研究分担者 |
玉木 秀幸 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (00421842)
草田 裕之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (00827537)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
90,740千円 (直接経費: 69,800千円、間接経費: 20,940千円)
2023年度: 16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2022年度: 16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2021年度: 16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2020年度: 16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2019年度: 23,660千円 (直接経費: 18,200千円、間接経費: 5,460千円)
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キーワード | 微生物 / 細菌 / 系統分類 / 生物多様性 / 生物資源 / 多様性 / 分離培養 / 遺伝資源 / バクテリア / 遺伝子資源 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ポストコッホ微生物の獲得を目的として、古典的なコッホの培養法の抜本的再考を通じて得た培養ノウハウをポストコッホ技術の開発(評価・改良)に活かし、微生物の培養技術の革新を図る。特に、微生物の培養化効率の向上に関わる3つの研究、具体的には項目1「コッホの微生物学技術の問題点の抽出」、項目2「フィールドオリエンテッドな情報に基づく培養条件の最適化」、および項目3「ポストコッホ技術の融合で導く標的微生物の選択培養」を領域内の有機的な連携によって推進するとともに、本領域が設定するモデル圃場からのメタ細菌の獲得と機能開拓の達成を図る。
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研究実績の概要 |
2022年度は、マイクロ培養デバイス(ポストコッホ技術)の環境微生物探索への応用に向けて、これまでの改善点を踏まえて、大腸菌と環境分離株を用いた条件検討を実施した。具体的には、デバイス上に塗布する微生物細胞数、長期間の培養における培地の安定性、マイクロ剣山による微生物の継代等について検討した。A01-1佐々班等との共同研究の結果、1ヶ月間にわたって微生物をデバイス上で培養することに成功するとともに、剣山等による釣菌や継代が実施可能であることも確認した。次に、新たに再設計したデバイス試作機を用いて、本領域が設定するモデル圃場(筑波大学内圃場)から微生物探索を試み、約70株の細菌を分離した。16S rRNA遺伝子配列に基づく系統解析により、これらの分離株はActinomycetota門、Bacillota門、Bacteroidota門、およびPseudomonadota門に帰属した。分離菌株の多くは、比較実験として実施した従来型の培養法(寒天プレート培養)から分離された系統群と類似していたものの、培養デバイスからのみで分離できた新規細菌株も見出しており、ポストコッホ技術と従来法で分離できる系統群のデータを整理しているところである。さらに昨年度に引き続き、新規細菌の培養化効率の改善に寄与する“培養のコツ”の検討・検証(微生物の生育を促進する培地成分や微生物間相互作用の利用等)も進めた。一連の検討から、多様な環境サンプルから新規細菌を複数分離するとともに、培養頻度の少ないPlanctomycetota門やVerrucomicrobiota門に属する細菌株を取得した(本年度までに合計約250株)。これらの検討で得た知見を反映させた新しい培地組成を設計し、現在、それらを培養デバイス上に充填する方法を試行錯誤している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
領域内のポストコッホ技術開発班との共同研究により、マイクロ培養デバイスを環境微生物探索に応用する際の課題の多くが解決され、実験が進展した。そして従来型の培養法で得られるデータとの比較が実施できるほどに、培養デバイスからの分離株の情報が蓄積した。また昨年度に引き続き、微生物の培養化効率の検討からも培養頻度の少ない希少な系統群が複数分離できたことから、「おおむね順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
環境微生物探索に使用するマイクロ培養デバイス本体とその使用方法を概ね確立することができたため、それらの論文公表を準備する。また、最終年度に向けて、これまでに検討した“培養のコツ”の知見を体系的に整理するとともに、得られた分離株のうち、系統分類学的な新規性、希少性が認められたものを新しいバイオリソースとしてポストコッホ微生物資源を整備するA02-4大熊班(理研JCM)、また国外の微生物系統保存機関に寄託し、新規系統を提唱する予定である。
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