研究領域 | 人間機械共生社会を目指した対話知能システム学 |
研究課題/領域番号 |
19H05694
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
新保 史生 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (20361355)
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研究分担者 |
長島 光一 帝京大学, 法学部, 講師 (20787056)
呉羽 真 山口大学, 国際総合科学部, 講師 (80750215)
原田 伸一朗 静岡大学, 情報学部, 教授 (90547944)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
95,420千円 (直接経費: 73,400千円、間接経費: 22,020千円)
2023年度: 18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2022年度: 18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2021年度: 18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2020年度: 18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2019年度: 20,540千円 (直接経費: 15,800千円、間接経費: 4,740千円)
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キーワード | ロボット / AI / 社会規範 / 法制度 / ELSI / 対話メディア / 対話知能 / ロボット法 / 対話知能システム / 情報法 / 情報学 / 倫理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究計画では、(1)社会制度(倫理・社会的受容性)、(2)法制度(法令その他の規範)、(3)ELSIの統合(Ethical, Legal and Social Issuesの統合)により、「ロボット法」として機械と共生する社会に必要な社会制度の研究を行う。 機械と共生する社会の到来を見据えたロボット法研究を行うことで、人間と機械の対話における新しい自律型のメディアの研究開発において検討が必要な課題を解明するとともに、社会への実装にあたって検証及び解決が必要な問題を明らかにする。
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研究実績の概要 |
研究実績として、(1)法律を守り、守らせる対話知能ロボットの社会実装のための実証実験の実施、(2)法律を守り、守らせる対話知能ロボットの提案、(3)法律を守らせるための対話ロボットの動作の検証、(4)噂話をするロボットにおける情報の取扱いについて研究を実施した。 対話知能学における法令遵守実施手順の策定については、A01-A03班との連携による具体的な実施事項として、日本科学未来館と対話知能学プロジェクトを定期的に開催し、一般の参加者に対話知能学の研究内容の詳細を解説し意見を聴取することで社会的受容性の検討を実施した。各研究班との連携により、日本科学未来館の協力を得てトークイベントを5回開催し、他グループの研究者の研究報告をベースに、法的、倫理的な問題について一般市民を交えた議論を重ねている。加えて、実証実験に参加した市民とシティミーティングを企画した。対話知能学の各グループから研究者が参加し、小学生から大人までの幅広い立場や年齢層の市民と、ロボットと暮らす未来について活発な議論がなされた。 各回におけるシティミーティングを通じた成果としては、ロボットの主観的意見の違和感の原因はなにか、価値観をすり合わせ、ロボットと対話することは可能かという観点からの検討(第11回)、人間もロボットに配慮したり気を使うというロボットリテラシーが必要な社会になるかという観点(第12回)、技術面だけではなく精神面も併せてAIと「切磋琢磨」することができるといえるかといった話題で一般市民の方々と議論(第13回)、社会性による、「見て見ぬふり」の判断が、今後ロボットにも重要であることや一般市民とどんな場面での見て見ぬ振りをロボットにしてほしいか等の議論(第14回)など様々な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「1 法律を守り、守らせる対話知能ロボットの社会実装のための実証実験の実施」について、「法令遵守を促進するロボットの研究開発」と「ロボットを用いた法令遵守の促進」を実証実験を踏まえて研究。これまでの、ロボットを利用する際に、法令遵守その他の社会のルールを守るための研究という観点ではなく、人間(自然人)がそれらを守るためにロボットを利用するという発想の転換に基づく研究。人間中心や人間を主体としたロボットの利用ではなく、ロボットを主体とするロボット利用の新たな視点からの研究を実施した。 「2 「法律を守り、守らせる対話知能ロボット」の提案」について、法律を守ってロボットを運用するという従来からの当たり前の発想ではなく、法律を守ってもらうためにロボットを主体的に利用する方法の実証。ロボットの側ではなく、人間側の倫理的・法的課題をロボット(対話知能)を活用することによって解決するための方法としての提案に向けた研究を実施した。 「3 法律を守らせるための対話ロボットの動作の検証」について、ロボットが重要事項や難しい説明内容をわかりやすく説明、ロボットの動作も踏まえて対象者との親和性を確保、単なる警報・警告通知機能ではない対象者との対話に基づく法令遵守促進機能、法定通知事項のわかりやすい通知方法の試行、法令違反をロボットにより抑止、対象者の傾聴度合いに応じた説明及びロボットの動作の調整等の検証を実施。新興技術研究開発・利用促進に係る法整備に向けた提言の検討の基礎となる制度の調査として、新興技術活用推進のための制度の検討、サイバーとフィジカルの双方が融合するCPS基本戦略の策定に向けた提言の検討にもつなげるため、EUが2021年4月21日にAI整合規則提案を公表しており、その意図の分析を踏まえ、日本における新興技術開発戦略の方向性の検討を目指した。
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今後の研究の推進方策 |
法律を守り、守らせる対話知能ロボットの社会実装のための実証実験において、ロボットによる会話(対話)の内容として、(1) 法定通知事項及び(2) 実験に関する説明事項の通知についてその内容と明示・通知等の方法について検証する。 (1)法定通知事項については、ロボットによる通知を具体的に実施することが有効であると考えられる場面としては、各種法令に基づいて明示・通知・公表等が義務づけられている重要事項その他の説明、対象者から情報を取得する場合に法律で定められている義務としての通知、対象者がロボットを利用する際に安全利用ために通知すべき事項などがあげられる。これらをロボット自身が行うことで効果的な通知を行うことができるか実証実験において検証を行うことは有効である。 (2)実験に関する説明事項の通知については、実証実験に参加するにあたっても、そのための説明を行うことが必要であるが、その手続も含めてロボットによる実験参加にあたっての事前の説明事項(実験の目的、手続、制限等)を実施することは効果があると考えられる。具体的な効果としては、回りくどい実験内容の解説を回避しつつ、実験実施にあたって法定の告知や説明義務がある事項を確実に通知することができるとともに、実験実施にあたっての協力を求めるために説明する事項を説明を受けた側が十分理解していることを確認することも可能となる。
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