研究領域 | マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解 |
研究課題/領域番号 |
19H05713
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
吉本 光希 明治大学, 農学部, 専任教授 (40399316)
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研究分担者 |
海老根 一生 基礎生物学研究所, 細胞動態研究部門, 助教 (90590399)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
66,820千円 (直接経費: 51,400千円、間接経費: 15,420千円)
2023年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2022年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2021年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2020年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2019年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
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キーワード | オートファジー / 液胞膜 / クロロファジー / 栄養欠乏 / ミクロオートファジー / 液胞 / 分解 / 植物 / オルガネラ / 環境ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
植物は一度大地に芽生えると移動することができないため独自の環境応答機能を進化させており、他の生物とは一線を画していると考えられる。 本研究計画では、独立栄養生物であるが故に存在する様々なタイプのオートファジー機構の解明、およびそれらによる植物の高次機能発現の解明を目的とし、その成果をもとに、植物オートファジーの環境応答機能としての重要性を理解し他の生物と比較しながら植物の巧みな生存戦略の一端を紐解く。 具体的には、カルス形成における植物マクロオートファジーの役割、亜鉛欠乏下における植物マクロオートファジーの役割、アンモニアストレス下におけるマクロ・ミクロオートファジーの膜動態とその連携を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、独立栄養生物であるが故に存在する様々なタイプのオートファジー機構の解明、およびそれらによる植物の高次機能発現の解明を目的とし、その成果をもとに、植物オートファジーの環境応答機能としての重要性を理解して他の生物と比較しながら植物の巧みな生存戦略の一端を紐解くことを目指している。今年度は以下の課題を推進した。 ①栄養欠乏下における植物マクロオートファジーの役割 前年度までに、オートファジーは,亜鉛欠乏下で植物の細胞内亜鉛のリサイクルを促進し,葉のクロロシスを抑制することを明らかにした(Shinozaki et al., Plant Physiol., 2020)。また、亜鉛過剰下では植物は鉄の吸収阻害により鉄欠乏に陥るが、オートファジーが細胞内の多様な自己成分を分解することで、鉄イオンを回収し必要箇所へ再供給することで亜鉛毒性耐性を獲得していることを明らかにした(Shinozaki et al., Plant Cell Physiol., 2021)。これら二つの結果を考えあわせ、オートファジーはZn欠乏とZn過剰ストレス時において,それぞれ,ZnとFeの再供給を担うことで,植物体内で生じたZn-Feバランスの崩壊を補正し,植物に障害が発生するのを抑えているという新規モデルを提唱した(Shinozaki and Yoshimoto, Trends Plant Sci., 2021)。 ②ストレス下におけるマクロ・ミクロオートファジーの膜動態とその連携 前年度までにアンモニアストレス下においてミクロオートファジーが活性化することを発見した。この条件を用いて、今年度はマクロオートファジー関連ATG遺伝子群』の変異体におけるミクロオートファジー能を調査し、ある一つの変異体がミクロオートファジー不全となることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
必須微量栄養素の中でも亜鉛に着目し、その欠乏下および過剰下における植物マクロオートファジーの役割について、明らかにし、原著論文2報の結論から新たなモデルを提唱し総説論文1報を発表した。加えて、早期リン酸欠乏下におけるマクロオートファジーの新たな役割も明らかにしつつある。 また、マクロオートファジー関連ATGタンパク質の一つがミクロオートファジーにも関与することを見出した。本発見は,未だ不明の植物ミクロオートファジーの分子機構解明に向けた新規研究ツールになり得る。 これらの結果から、本研究課題は当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
マクロオートファジー関連ATGタンパク質の一つがミクロオートファジーにも関与することを見出したが、現段階ではそのタンパク質ののミクロオートファジーにおける役割の詳細な分子メカニズムは不明である。今後はそのタンパク質の細胞内局在や、相互作用因子を共免疫沈降実験により単離・同定することで、植物ミクロオートファジーの分子機構に迫る。
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