研究領域 | 水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成 |
研究課題/領域番号 |
19H05718
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
鷲津 仁志 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (00394883)
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研究分担者 |
渡辺 豪 北里大学, 未来工学部, 教授 (80547076)
樋口 祐次 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (30613260)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
131,300千円 (直接経費: 101,000千円、間接経費: 30,300千円)
2023年度: 26,520千円 (直接経費: 20,400千円、間接経費: 6,120千円)
2022年度: 23,140千円 (直接経費: 17,800千円、間接経費: 5,340千円)
2021年度: 28,860千円 (直接経費: 22,200千円、間接経費: 6,660千円)
2020年度: 27,560千円 (直接経費: 21,200千円、間接経費: 6,360千円)
2019年度: 25,220千円 (直接経費: 19,400千円、間接経費: 5,820千円)
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キーワード | 水圏機能材料 / 分子シミュレーション / 固液界面 / マルチスケール / 高分子 / 液晶 / 水和 / 自由エネルギー / マテリアルズインフォマティクス / マルチスケールシミュレーション / 電子状態計算 / 水素結合構造 / 分子動力学 / 分子軌道解析 / 密度汎関数法 / イオン液晶 / 単分子膜 |
研究開始時の研究の概要 |
水圏機能材料の設計指針を提示するために、マルチスケールのシミュレーション技術を確立し、分子理論に基づく水圏機能材料の基礎学理を構築する。水圏においては、大きな構造自由度をもつ有機・高分子材料と、単純な集団として扱えない水との相関関係を分子レベルから材料全体のマクロレベルまで階層的に扱う必要がある。本研究では、このような水圏で機能する材料創成を実現するために、階層化した大規模分子シミュレーションにより、実験で得られた知見と相補的な現象理解に基づいた水圏機能材料の学理を構築するとともに、新規材料系の設計指針の提示を行う。
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研究成果の概要 |
水圏機能材料の多くは自己組織化(液晶化、ホスト-ゲスト反応など)して秩序構造を形成する。その際、材料分子側は水分子の強い極性に誘起され、凝縮相特有の部分電荷の再配置(分極)が生じる。この部分電荷を量子化学的に精密に決定するマルチフィジックス的手法を提案・活用して、たとえばイオン液晶膜の構造予測および材料中の水の状態についての解析に成功した。さらに、生体親和性高分子中の水分子の赤外吸収スペクトルの比定など、従来は低分子溶液でしか対比できなかった分光学データとの直接比較を実現するスキームを提案した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
イオン液晶中の水において、水素結合状態の異なる 4 種類の水が分類できることがわかった。この知見は、従来のバルクにおける水和の概念を拡張させる必要性を示した。高分子近傍における水分子は、熱量測定に基づく不凍水、中間水、自由水の概念が提案されていたが、高分子主鎖あるいは官能基からの距離で分類した配向因子の解析においても類似の定義が可能であることを示した。また、水と水圏機能材料の直接の相互作用だけではなく、その周囲の水分子間の水素結合ネットワークが水のダイナミクスに重要であることも見出した。「負の水和状態」と呼ばれる分子スケールにおける描像を明らかにし、高分子周囲の水の動態の理解にも適用した。
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