研究領域 | 身体-脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解 |
研究課題/領域番号 |
19H05728
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小池 康晴 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10302978)
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研究分担者 |
舩戸 徹郎 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40512869)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
121,030千円 (直接経費: 93,100千円、間接経費: 27,930千円)
2023年度: 23,270千円 (直接経費: 17,900千円、間接経費: 5,370千円)
2022年度: 23,270千円 (直接経費: 17,900千円、間接経費: 5,370千円)
2021年度: 23,140千円 (直接経費: 17,800千円、間接経費: 5,340千円)
2020年度: 23,140千円 (直接経費: 17,800千円、間接経費: 5,340千円)
2019年度: 28,210千円 (直接経費: 21,700千円、間接経費: 6,510千円)
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キーワード | 腱付け替え / 筋シナジー / 機械学習 / 仮想手術 / 筋骨格系モデル / モデリング |
研究開始時の研究の概要 |
仮想手術による長期的な身体変容を生じる実験系を実現し、サルの筋再配置による短期的な身体変容を生じる実験系とあわせて、長期/短期の身体変容後の神経系の変化を調べる。さらに、筋再配置の力学シミュレーション及び脳情報デコーディング技術を確立し、実験で得られた生体データの解析を行うことで、身体変容に対する生体構造の再構成過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
腱再配置シミュレーションのためのサル筋骨格モデルの構築においては、A02研究項目と共同で実施しているマカクサルの腱再配置に対する適応過程を、力学シミュレーションで再現して適応メカニズムを調べている。 昨年度まで筋骨格ソフトウェアOpenSIM上の筋骨格モデルを用いて腱再配置の筋活動への影響を調べていたが、用いていた筋骨格モデルはヒトの筋骨格モデルをサルの大きさにスケーリングをして作成したもので、筋の付着位置などがサルと異なるという問題があった。本年度はB05-2との共同研究として、従来研究において作成したサルの筋骨格モデルを元に、力学シミュレーションが可能な筋骨格ソフトウェアMuJoCoソフトウェア上でサルの筋骨格モデルを構成し、解剖学的により妥当な筋活動の解析が可能な環境を構築した。 筋シナジーを利用した運動学習においては、筋シナジーが学習により変化するのかどうかを実験的に確認した。筋の付け替えなどを行う仮想手術で、新たな環境を学習しようとしても、試行錯誤による探索では、最適な解が発見できないことがある。そこで、筋シナジーの類似度をフィードバックすることで運動学習が促進されるかどうかを調べた。 熟練者の筋シナジーとの類似度を提示したグループと何もフィードバックしなかったグループとで別の日に5回行った学習によりどのように滑らかさのスコアや筋シナジーの類似度のスコアが変化したかを調べた。その結果、滑らかさは、筋シナジーの類似度を提示するかどうかにはかかわらず高くなるが、筋シナジーの類似度は、フィードバックを与えたグループの方が有意に高くなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腱再配置シミュレーションのためのサル筋骨格モデルの構築においては、A02班と共同で、マカクサルの腱再配置に対する適応過程を計算機シミュレーションで再現することを試みてきたが、実験とは異なる結果となっていた。この原因を探るために、新たに、精度の高いサルの筋骨格系モデルを構築した。 仮想手術による心理物理実験とその計算機モデルの構築については、複数の筋肉の入れ替えなどを行うことにより運動学習が困難であることが分かったため、目標の筋シナジーに対しての学習が可能かどうかを調べる実験を行ない、学習効果を確認した。また、計算機モデルの構築においては、力場への運動学習が実現可能であることも確認した。
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今後の研究の推進方策 |
力学シミュレーションを用いた腱再配置に対する適応機能解明の研究では、サルの筋骨格系に基づく力学モデルを構築することができた。今後はこのモデルを用いて、腱再配置後の運動適応を再現する学習制御メカニズムを調べる予定である。 また、仮想手術における運動学習過程の研究では、筋シナジーを元にした運動学習の方策をモデル化する予定である。
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