研究領域 | 出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
19H05734
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
松木 武彦 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50238995)
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研究分担者 |
藤澤 敦 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (00238560)
渡部 森哉 南山大学, 人文学部, 教授 (00434605)
比嘉 夏子 岡山大学, 文明動態学研究所, 客員研究員 (00721565)
橋本 達也 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 教授 (20274269)
佐々木 憲一 明治大学, 文学部, 専任教授 (20318661)
寺前 直人 駒澤大学, 文学部, 教授 (50372602)
市川 彰 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 准教授 (90721564)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
52,520千円 (直接経費: 40,400千円、間接経費: 12,120千円)
2023年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2022年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2021年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2020年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2019年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 戦争 / コミュニケーション / 社会複合化 / 認知 / 文明形成 / 武器 / 防御施設 / 表象 / 階層化 / 複合化社会 / 文明 / 儀礼 / 古代国家 / 認知考古学 / 比較考古学 / 文化進化 |
研究開始時の研究の概要 |
2020~2021年度は、集成したデータ群を配列し、事象の出現の順番と因果関係を見据えつつ戦争の出現・発展・低減・消滅のプロセスを地域ごとに提示し、「戦争プロセスモデル」を作成する。2022年度は、このモデルにモニュメント築造(A01班)や技術革新・芸術表現(A02班)などの事象を織り込み、戦争プロセスの認知的側面を明示する。2022年度後半~2023年度前半には、B03 身体班と協業し戦争プロセスの身体的側面を解明する。2023年度後半は、C01モデル班との共同作業によって、集団の複合化と戦争という事象が、ヒトの認知と身体を媒介として文明創出に寄与するメカニズムを提示する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヒト固有の「入れ子状に階層化する多数の集団が複合した巨大な社会」が生み出されたメカニズムとプロセスを、戦争という事象を通じて解明することである。本研究では、戦争に関する事象のうち、戦争という状況の演出によって集団内のアイデンティティを強化し、その感情や表象の操作を通じて強化された権力によって急速な階層化が進むという内的・認知的側面を重視し、戦争に関わる人工物(考古資料)の時系列化とその地域比較によって、ヒト社会における戦争と社会複合化のプロセスを復元する。そして最終的には、さらに、ヒトの認知と身体がどのようにして戦争という現象を生み、それを媒介に、どのような認知と進化の メカニズムが、集団の複合化と、それによるヒト特有の巨大社会を実現したのかを明らかにする。 上記の目的を達成するため、日本列島・北アメリカ・中央アメリカ・南アメリカ・オセアニア各地における調査と資料収集及びデータ整理を実施し、その成果をもとに上記の地域比較をし、普遍的共通性と地域的個性を弁別した。具体的には、研究代表者の松木武彦が日本列島中央部(とくに瀬戸内と近畿)の弥生~古代、研究分担者の寺前直人が同地域の弥生~古墳時代、藤沢敦が弥生時代~古代の日本列島北部、橋本達也が古墳時代中央部および南部の日本列島について上記の比較検討のデータを整備した。さらに、研究分担者の市川彰・佐々木憲一・渡部森哉・比嘉夏子および研究協力者の青山和夫・長岡拓也は、それぞれメソアメリカ・北アメリカ・アンデス・オセアニアでの調査を踏まえてデータを整備した。 以上の研究の進展を踏まえつつ、各自論考を発表するほか、2022年11月13日には「戦争と協調」、2023年2月18日には「コミュニケーションと戦争」という2回のシンポジウムを開催して成果のまとめと社会への還元を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の目的を達成するため、日本列島・北アメリカ・中央アメリカ・南アメリカ・オセアニア各地における調査と資料収集及びデータ整理を実施し、その成果をもとに上記の地域比較をし、普遍的共通性と地域的個性を弁別した。また、それをもとにして開催された2回のシンポジウム「戦争と協調」および「コミュニケーションと戦争」においては、ヒトの進化における「戦い」の認知的基盤が、文明形成を契機として、いかなるメカニズムで「戦争」という社会事象につながるのかについて、メカニズムとプロセスのモデルを提起することができた。このことから、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、「出ユーラシア」(日本列島・北アメリカ・中央アメリカ・南アメリカ・オセアニア各地)の各フィールドの調査と分析をもとに、地域間の比較検討、普遍性と多様性の弁別、および「戦い」の進化・認知的基盤と戦争発生のメカニズムについて仮説を提起できた、これをもとに、研究の最終段階に当たる今後においては、A01モニュメント班とA02アート班およびB02脳科学班とも必要に応じて協業しつつ、本領域の基幹理論である3元ニッチ構築を軸とした「戦争」の発生と持続、およびそれと社会複合化の相互関係のメカニズムについて、最終的なモデルを完成させる。具体的には、2023年10月(予定)のシンポジウムと、2024年1月(予定)の全体会議のセッションにおいて、その具体的公開を行う。
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