研究領域 | 多様かつ堅牢な細胞形質を支える非ゲノム情報複製機構 |
研究課題/領域番号 |
19H05746
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩間 厚志 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70244126)
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研究分担者 |
北村 俊雄 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 名誉教授 (20282527)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
168,220千円 (直接経費: 129,400千円、間接経費: 38,820千円)
2023年度: 33,670千円 (直接経費: 25,900千円、間接経費: 7,770千円)
2022年度: 31,850千円 (直接経費: 24,500千円、間接経費: 7,350千円)
2021年度: 30,030千円 (直接経費: 23,100千円、間接経費: 6,930千円)
2020年度: 33,670千円 (直接経費: 25,900千円、間接経費: 7,770千円)
2019年度: 39,000千円 (直接経費: 30,000千円、間接経費: 9,000千円)
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キーワード | 幹細胞 / 運命決定 / クロマチン複製 / 造血幹細胞 / 自己複製 / クロマチン高次構造 / 非ゲノム情報 |
研究開始時の研究の概要 |
造血幹細胞とその分裂によって生じる2 つの娘細胞のシングルセル解析を行い、それらのクロマチン複製様式を明らかにする。シングルセルATAC-Seq によるオープンクロマチン領域解析、シングルセルHi-C 解析によるトポロジカル関連ドメイン解析、ならびにシングルセルRNA-seq を行い、造血幹細胞の分裂様式をクロマチン複製と遺伝子発現の観点から理解し、娘細胞のシングルセル骨髄移植によって規定される造血幹細胞の生物学的な自己複製・分化との対応を明らかにする。さらに、本領域研究において同定されるクロマチン複製制御因子群の生物学的意義を、造血幹細胞の自己複製における機能の検証を通して理解する。
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研究実績の概要 |
造血幹細胞の細胞分裂により生み出される2つの娘細胞の細胞形質と高次クロマチン構造をペアとして1細胞解析することで、造血幹細胞の対称分裂と非対称分裂におけるクロマチン高次構造の継承の実態とその細胞形質変化への関わりを解明する。共同研究者の永野はHi-CデータとRNA-seqデータを同じ1細胞から同時取得するための新技術を開発した。この新技術を用い、造血幹細胞の娘細胞ペアのHi-Cデータを比較したところ、同じ幹細胞から生み出されたペア同士の染色体テリトリー配列の相関がそれ以外に比べ高い傾向にあることが分かった。娘細胞ペアの1細胞RNA-seq解析では、娘細胞ペアの片方のtranscriptomeが多能性幹細胞より下流の骨髄球系前駆細胞の特徴を示すものが頻度は少ないものの同定された。これは明らかな非対称性分裂を示すペアがあることを示しており、非対称性分裂がある一定頻度で起こっているものと考えられた。すでに若齢造血幹細胞の娘細胞ペアに加えて加齢造血幹細胞の娘細胞ペアのHi-CデータとRNA-seqデータの取得は終了している。今後は両データを統合することにより、造血幹細胞の対称分裂と非対称分裂におけるクロマチン高次構造の継承の実態と明らかにする。分担研究者の北村は、造血器腫瘍で認められるC末端欠失型ASXL1変異(ASXL1-MT)の機能解析を行い、ASXL1-MTノックインマウスでは炎症性マクロファージが増加し、動脈硬化が増悪することを明らかにし、その詳細な機序の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
娘細胞ペアの1細胞RNA-seq解析では、娘細胞ペアの片方のtranscriptomeが多能性幹細胞より下流の骨髄球系前駆細胞の特徴を示すものが頻度は少ないものの同定された。これは明らかな非対称性分裂を示すペアがあることを示しており、非対称性分裂がある一定頻度で起こっていることを示しており、解析系がうまく機能していることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
【研究項目1】 造血幹細胞の細胞運命を規定するクロマチン複製様式の同定(岩間) 岩間は、造血幹細胞の細胞分裂により生み出される2つの娘細胞の細胞形質と高次クロマチン構造をペアとして1細胞解析することで、造血幹細胞の対称分裂と非対称分裂におけるクロマチン高次構造の継承の実態とその細胞形質変化への関わりを解明する。娘細胞ペアの1細胞RNA-seq解析データをHi-Cデータから得られる高次クロマチン構造と統合して解析を進める。また、加齢マウスの造血幹細胞を用いた娘細胞ペアの解析も実施する。 【研究項目2】 非ゲノム情報調節因子ASXL1 によるクロマチン複製制御機構の解明(北村・岩間) 分担研究者の北村は、造血器腫瘍で認められるC末端欠失型ASXL1変異(ASXL1-MT)の機能解析を行い、ASXL1-MTによるエピゲノム異常と造血幹細胞機能異常・造血腫瘍発症への関与を明らかにする。
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