計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
精子および卵子ゲノムは、受精により全能性を獲得する。この全能性の獲得には、卵子細胞質が大きく関わる。体細胞核移植は、その卵子細胞質中に存在する母性因子を利用して体細胞ゲノムに全能性を賦与する技術であるが、核移植クローン胚の多くは発生停止をしたり、あるいは生後の異常表現型を呈する。よって、正常な受精および体細胞核移植クローンにより得られた胚・胎仔・産子を詳細に解析することにより、完全な全能性獲得のための条件が明らかになると期待される。本研究では、発生工学的技術と最新のゲノム解析技術を駆使することにより、全能性獲得とその後の正常な発生・出生・成育に至るエピゲノム条件を明らかにする。
体細胞クローンは、卵子(母性)因子を利用して体細胞ゲノムを初期化し、全能性を賦与する技術である。そこで、クローン胚を解析し、初期化異常を探索した。体細胞クローン胚ではH3K27me3依存性の非典型刷込み遺伝子の記憶(loss of imprinting; LOI)が消去されており、それが妊娠末期の巨大胎盤および初期胎盤における異常な上皮間葉系転換(epitherial-mesenchymal transition, EMT)の原因となることを明らかにした。また、新規G9a(ヒストン H3K9メチル化酵素)阻害剤を用いることで、クローンマウスの出生効率が有意に改善することが明らかになった。
本研究の成果により、核移植クローン技術は、エピゲノム修復原理に基づく格段の進歩につながった。その解析結果は、いかに全能性をもとに新しい生命が始まるかという生物学の最大の課題の一つに対し、解決の糸口を与えると期待される。また、クローン技術の進歩は、畜産・創薬などの産業応用(生物工場)、ヒト疾患モデルの開発(特に霊長類)、移植用臓器の作出、絶滅危惧種の保全などきわめて多くの応用へつながる。特に近年は、ブタを用いた異種移植用臓器の臨床利用が始まっており、その遺伝子改変ブタドナーの作成に必須となる核移植クローン技術の効率化は、将来の移植医療の普及に大きなインパクトを与えると期待される。
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