研究領域 | 「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究 |
研究課題/領域番号 |
19H05766
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
津本 浩平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90271866)
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研究分担者 |
中木戸 誠 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80784511)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
77,480千円 (直接経費: 59,600千円、間接経費: 17,880千円)
2023年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2022年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2021年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2020年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2019年度: 19,500千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 4,500千円)
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キーワード | 病原性微生物 / 金属取り込み / 低分子化抗体 / 低分子化合物 / 物理化学 |
研究開始時の研究の概要 |
化膿レンサ球菌および黄色ブドウ球菌は常在菌である一方で、ヒトに対する多様な病原因子を有しており、しばしば疾患を引き起こす。さらに高い薬剤耐性獲得能を有しているため、抗生物質に変わる新たな治療手法の開発が急務である。そこで、金属が機能的に重要な役割を果たしている金属取り込み関連タンパク質を標的とし、物理化学的な手法に基づくスクリーニングを行うことにより、機能制御分子を取得、新規な作用機序を有する抗菌剤の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、病原性微生物である化膿レンサ球菌および黄色ブドウ球菌を標的とし、鉄取り込み系で機能するタンパク質群の機能阻害に基づいた抗菌剤開発を目指している。 本年度は、化膿レンサ球菌において機能する3種の鉄取り込み経路のそれぞれに対して、低分子化合物および低分子化抗体を活用した機能阻害分子の解析を行った。MtsAに対しては、単独では阻害機能を持たない複数の低分子化抗体を連結して作製したバイパラトピック抗体による鉄獲得機能の阻害について、その分子機構の解明を行っている。その結果、バイパラトピック抗体がMtsAの動的挙動を制御することによって間接的にリガンド結合を阻害していることが示唆された。また、FtsBに対してもリガンド結合の阻害効果が確認されている低分子化抗体による機能阻害の分子機構を明らかにするとともに、構造解析結果に基づいたさらなる機能阻害剤の設計を試みている。さらに、Shrについても、菌種特異的な抗菌活性が確認されている低分子化合物について、生化学および計算化学を活用して機能阻害の分子機構について解析を進めている。 黄色ブドウ球菌に対する抗菌剤開発に関しては、これまでに取得していたIsdH/IsdBのリガンド結合の阻害に基づく抗菌活性を有する低分子化抗体について、構造解析ならびに分子動力学計算によりその分子機構の理解を進めている。さらに、それらの解析結果に基づき、より高い阻害活性を有する機能阻害分子の設計を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顕著な成果として、本研究で標的としている化膿レンサ球菌および黄色ブドウ球菌の計4種の鉄取り込み系で機能するタンパク質群に対し、いずれも機能を阻害する分子の取得に成功していることがあげられる。さらに、標的分子に関する機能阻害について、その分子レベルでの機構の記述に成功しており、現在、それらの解析に基づく高機能化が進行中である。前年度にCOVID-19の影響により研究の進展が若干ではあるが遅れていたため、研究費を繰越し、研究計画を後ろ倒ししていたが、当該年度では順調に計画が進展し、遅れを取り戻すだけでなく当初の予定通りの進捗が得られている。以上から本年度は概ね順調に進展している、とした。
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今後の研究の推進方策 |
化膿レンサ球菌および黄色ブドウ球菌に関しては、金属取り込みを中心とした各経路に対してこれまでに取得してきた機能阻害分子について、分子機構の解明および高機能化研究を継続する。また、微生物を用いた抗菌活性の評価について解析を進め、in vitroでの機能阻害活性とin vivoでの抗菌活性との相関を明らかにし、抗菌剤創出への礎を築く。さらに、現在得られている化合物および抗体に関する各種知見を基盤とし、他分子種を活用した阻害剤についても設計を進めるとともに、標的分子との相互作用に関する物理化学的解析に基づく合理的な阻害剤設計手法の指針を提案し、本研究を総括する。
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