研究領域 | 「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究 |
研究課題/領域番号 |
19H05768
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神戸 大朋 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (90303875)
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研究分担者 |
宗兼 将之 金沢大学, 薬学系, 助教 (80804806)
杉本 宏 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 専任研究員 (90344043)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
82,940千円 (直接経費: 63,800千円、間接経費: 19,140千円)
2023年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2022年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2021年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2020年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2019年度: 19,500千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 4,500千円)
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キーワード | 亜鉛輸送体 / 生命金属 / 金属配位 / 亜鉛酵素 / 吸収 / 毒性金属 / 撹乱 / マンガン / メタレーション / 相互作用 / 有害金属 / 攪乱 / 体内動態 / メラニン / チロシナーゼ / 銅 / SMPD1 / GPI アンカー |
研究開始時の研究の概要 |
亜鉛(Zn)は、3,000を超えるタンパク質と結合(メタレーション)し、Zn結合タンパク質として多彩な生理機能を発揮する。Znが多数のタンパク質の中から目的タンパク質を探し当て、正しくメタレーションするためには、Zn輸送体によって細胞外から取り込まれたZnが、細胞内で目的タンパク質に正確に配送されるという一連の制御が不可欠となる。一方、Zn輸送体はある種の有害金属も輸送することから、メタレーションの過程は、有害金属の毒性発現制御とも密接に関わる。本研究では、Zn輸送体を出発点とするZnメタレーションの分子機序を明らかにし、さらに、その方法や成果を応用して有害金属毒性発現の分子機序の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
亜鉛輸送体が輸送した亜鉛が標的タンパク質に供給されて配位されるメカニズムに関連して複数の新たな知見を報告した。初期分泌経路に局在する亜鉛輸送体ZNT5-6とZNT7によって輸送された亜鉛は、酸性スフィンゴミエリナーゼSMPD1やGPIアンカー生合成酵素、チロシナーゼ関連タンパク質1(TYRP1)に供給されることを実証した。また、細胞からの亜鉛排出に重要な亜鉛輸送体ZNT1の発現制御機構を解明すると同時に、消化管上皮細胞においてZNT1が関わる亜鉛吸収制御のモデルを構築した。さらに、動物細胞内でマンガンと亜鉛が競合することを発見し、マンガン過剰が亜鉛代謝を撹乱する新規知見を報告した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回見出した亜鉛によるTYRP1の活性化に関する知見は、70年以上にわたって、色素形成に重要な補因子は銅のみであると考えられてきた概念を覆す発見となった。このように、亜鉛酵素が、亜鉛輸送体に輸送された亜鉛を獲得するメカニズムの多くは解明されておらず、本研究の成果は、この点において重要である。また、今回ZNT1が関わる亜鉛吸収モデルの提示は、亜鉛吸収の機序に関する知見が十分得られていない状況を大きく改善する重要な成果となる。さらに、動物細胞においてマンガンが亜鉛代謝に影響を与えるという報告は皆無であったため、今回見出した知見は、金属が関与する疾患発症の機序やその治療にも役立つ意義ある成果となる。
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