研究領域 | 「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究 |
研究課題/領域番号 |
19H05775
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
武田 志乃 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 上席研究員 (00272203)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
66,820千円 (直接経費: 51,400千円、間接経費: 15,420千円)
2023年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2022年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
2021年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
2020年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2019年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
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キーワード | 量子ビーム / 蛍光X線分析 / XAFS / イメージング / ウラン / ケミカルイメージング / バイオイメージング / 分布 / 局在 / 化学状態分析 / 腎臓 / 蛍光X線分析 |
研究開始時の研究の概要 |
組織構造特有の反射光を高分解能で分離するハイパースペクトル技術を導入し、組織・細胞試料を無処置・無染色で微細構造あるいは細胞小器官や生体分子分布のバイオイメージングを取得、同一試料に対してPIXE、SR-XRF、XAFS分析等の非破壊量子ビーム分析によるケミカルイメージング解析を行うバイオ・ケミカルイメージング手法の確立を行う。これまでミクロンレベルで組織局在・濃集様態を把握している腎臓ウラン動物モデル等を主体に解析を進め、濃集部の細胞内小器官を同定、尿細管輸送や生体内還元、生体ミネラリゼーションなどの分子解析を並行して進め、細胞内局在・濃集の元素特性とその形成機序を明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
生命金属の理解には、組織構造や細胞配列を保持したまま、生命金属の分布や化学形を把握する必要がある。本申請研究では、生命金属動態をin situで理解する研究戦術として、放射光やプロトンなどの量子ナノビームを利用して非破壊的に生命金属動態を可視化、無処置・無染色で微細な組織・細胞構造あるいは細胞小器官や生体分子分布を把握するバイオイメージングと組み合わせた、バイオ・ケミカルイメージングの確立に取り組む。ナノレベルでの細胞構造と対応させた金属動態から局在・濃集の元素特性と形成機序の解明を目指す。 具体的には、薄切組織試料等の生体試料に対し組織微細構造特有の自家蛍光や反射光を高分解能で分離したハイパースペクトル等を利用しバイオイメージングを得る。同一試料について放射光やプロトンのナノビームを用い、非破壊分析であるSR-XRF(放射光蛍光X線分析)、PIXE(荷電粒子励起X線)分析、XAFS(X線吸収微細構造法)を組み合わせて元素分布・局在・化学形情報を取得しケミカルイメージングとする。両者を対応させることで生体内環境を限りなく保持した生命金属動態を解析する。令和4年度はバイオイメージングについては硬組織・軟組織が混在する骨組織に取り組んだ。ケミカルイメージングの高度化については、軽元素から重金属までの細胞内生命金属分布解析の拡充を行った。また、化学形イメージング用分析標準の適正評価や従来の励起エネルギーより高いエネルギーのマイクロビームを利用した放射光蛍光X線分析(SR-XRF)の定量手法に取り組んだ。これにより対象となる生命金属が拡がり、応用研究展開が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではハイパースペクトル等によるバイオイメージングと量子ビームを用いた非破壊元素分析によるケミカルイメージングにより、in situで生命金属動態を解析する手法を確立し生命金属の局在・濃集の元素特性とその形成機序の解明に取り組む。令和4年度はバイオイメージングについてはこれまでの腎臓や腸管組織などの軟組織から硬組織・軟組織が混在する骨組織に対象を広げた。ケミカルイメージングの高度化については、軽元素から重金属までの細胞内生命金属分布解析の拡充を中心に行った。 1)バイオイメージング:胸骨はマトリックスとしてリンやカルシウムなどの元素を含む他、微量の生命金属が含まれる組織である上、硬骨、軟骨組織と骨髄が複雑に入り組んだ構造をしている。胸骨を対象として自家蛍光を用いたバイオイメージングを試みたところ、硬骨や軟骨、骨髄の識別が可能であった。また、鉄の局在部に対応する蛍光強度の高い部位を抽出することができた。 2)ケミカルイメージング高度化:マウス尿細管領域由来培養細胞や貝類消化管等の試料に対して、マイクロPIXEやSR-XRFを行い、リン、イオウ、カリウム等の軽元素から鉄、亜鉛、白金、カドミウム等の重元素までの分布解析条件の検討を行い、マイクロ(ビーム径:1 μm × 1 μm)~ナノ(ビーム径:100 nm × 100 nm)のイメージングを得た。数百ナノ四方の局在部を見出し、薄切分析標準による局在量の把握を行った。また、より高エネルギーのマイクロビーム(エネルギー:37 keV、ビーム径:1 μm × 1 μm)を利用して、組織中セシウム分布解析および局所定量手法を確立した。2次元XAFSによる化学形分別イメージングのための薄切タイプの分析標準についても検討を行い、2次元XAFSの位置精度評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、量子ビームケミカルイメージングを領域内連携・展開して生命金属動態の理解につなげる。元素局在、濃集の情報を構築し、それらの自家蛍光やハイパースペクトル情報を収集し、ケミカルイメージングの汎用手法の確立につなげる。 1)バイオイメージング:組織・細胞構造に特有の自家蛍光やハイパースペクトル情報の構築を行う。特殊樹脂による化学形分別・特定のための標準開発を引き続き進め、これらから得られた元素および化学形特異的な波長を抽出、実サンプルの画像解析で検証を行う。パイパースペクトル情報を領域内連携で共有、汎用イメージング手法に展開させる。 2)ケミカルイメージング:細胞内元素分布動態を引き続き進め、細胞小器官との対応を行う。細胞内生命金属のナノ計測による生命金属分布動態の元素特異性を明らかにする。2次元XAFSの位置精度の検討を引き続き進める。軟組織に対する3次元計測について、定量化における精度評価および不確かさ要因の抽出を行う。 3) バイオ・ケミカルイメージングの高度化:腎臓以外にも神経組織等へも応用し解析技術の高度化を行う。元素局在、濃集部の自家蛍光やハイパースペクトル情報を収集し、ケミカルイメージングの汎用手法の確立につなげる。ウラン生体濃集について、濃集部の細胞小器官の特定から濃集経路を検討する。
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