研究領域 | 機能コアの材料科学 |
研究課題/領域番号 |
19H05789
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿部 真之 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (00362666)
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研究分担者 |
Custance Oscar 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, 上席研究員 (00444555)
勝部 大樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (00831083)
稲見 栄一 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (40420418)
山下 隼人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (10595440)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
101,660千円 (直接経費: 78,200千円、間接経費: 23,460千円)
2023年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2022年度: 19,500千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 4,500千円)
2021年度: 20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
2020年度: 18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2019年度: 26,780千円 (直接経費: 20,600千円、間接経費: 6,180千円)
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キーワード | 走査型プローブ顕微鏡 / パルスレーザー堆積法 / ダイナミクス観察 / 光触媒 / 非接触原子間力顕微鏡 / 走査型トンネル顕微鏡 / 高速原子間力顕微鏡 / 金属酸化物 / TiO2 / SnO2 |
研究開始時の研究の概要 |
最先端のSPM技術を駆使し、欠陥の状態が制御されている機能コア清浄表面が、外場と相互作用した場合にどのように働くのかを、原子からサブミクロンレベルで系統的に明らかにする。具体的には、(1)欠陥や構造を制御した機能コア清浄表面の実現を行う。次に、(2)原子分解能による機能コア清浄表面の原子レベル解析を原子分解能NC-AFMおよびSTMを用いて行う。さらに、(3)外場印加型高速AFMによる機能コアダイナミクス観察を、上記で測定した機能コア清浄表面が、反応場においてどのような機能を示すのかを、ビデオレートで動作する高速AFMを用いて測定する。
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研究実績の概要 |
欠陥の状態がコントロールされている原子レベルで平坦な表面試料(機能コア清浄表面)を作製し、研究代表者が保有する走査型プローブ顕微鏡技術を駆使し、原子~サブミクロンレベルで系統的に明らかにする実験を行った。主な成果を以下に示す。 (1)CeO2の原子分解能AFM/STM測定 触媒材料であるCeO2の原子分解能AFM/STM測定を行った。清浄表面作製の条件を明らかにし、AFM/STMによる原子分解能測定を行った。本章では、分子吸着観察実験に適した、表面構造が原子レベルで制御された CeO2(111)表面の作製パラメーターを検討し、最適化を行った。得られた表面を NC-AFM 観察し、原子レベルの微細な構造を捉えた高分解能の NC-AFM 像を得ることに成功した。また高分解能 NC-AFM 観察とフォーススペクトロスコピーの組み合わせにより、各サイトの原子の識別に成功した。この結果により、CeO2(111) 表面上に CO 分子及び CO2 分子を吸着した際の吸着サイトを明らかにした。 (2)高速原子間力顕微鏡を用いた光触媒効果実験 高速原子間力顕微鏡を用いて光触媒効果に関して、構造の異なる二種類の脂質膜を用いた分解過程の観察も行った。続いて蛍光試薬を用いて、脂質が酸化すると生成されるという脂質ラジカルの発生についての実証実験を行った。その結果、光触媒基板上で脂質膜が分解する全過程の可視化し、さらにTiO2表面のナノ構造であるシングルステップとテラスには分解する速度に大きな違いが見られないことを見出した。TiO2上に展開した二種類の脂質膜の体積は時間とともに減少する様子が見られたが、分解速度には差が存在していることを発見した。蛍光測定においては紫外線を照射したものとしなかったものとでは、蛍光強度の上昇に有意な差が見られたため、脂質ラジカルの発生を実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記以外の成果として、コロナ禍においても共同件の実験を進めるための対策を行った。具体的には、AFM/STM装置がある大阪大学にいなくても、リモートで実験のすべてのオペレーションを行えるように整備した。A03(キ)班と協力してケルビンプローブ力顕微鏡測定手法を予備的に開始し、R05年度から本格的に共同研究を進めることとした。STM測定の電源ノイズ低減のための手法を開発した。その他、領域内の共同研究で新規の金属酸化物薄膜の機構コア清浄表面作製を行ったが、原子分解能測定を達成することはできなかった。その他の成果としては、X線光電子分光によるルチルおよびアナターゼ表面のガス反応性のリアルタイム測定、機械学習を用いた熱ドリフト完全補正走査プログラムの開発、電源ノイズ低減システムの開発、WO3清浄表面作製条件の解明とSTM観察、などを行った。2023年度はさらに新規の材料へ展開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
原子分解能のNC-AFM/STM測定に関しては、これまで研究がほとんどなされてこなかった種々の金属酸化物界面の評価を進める。具体的には、VO2やRuO3やCeO2のような実用上重要な金属酸化物表面の状態を詳細に調べる。高速AFMによる光触媒材料に関しては、実験環境が整いつつあるので、さらに様々な材料観察を行う予定でいる。具体的には、TiO2のアナターゼ型とルチル型との反応性の違い、AuやPtで担持した表面の光触媒ダイナミクスの観察を行う。また、X線光電子分光によるルチルおよびアナターゼ表面のガス反応性のリアルタイム測定も引き続き行う。
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