研究領域 | 情報物理学でひもとく生命の秩序と設計原理 |
研究課題/領域番号 |
19H05795
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡田 康志 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50272430)
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研究分担者 |
神原 丈敏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (40451637)
池崎 圭吾 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10722960)
榎 佐和子 (苙口佐和子) 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (50467635)
佐々 真一 京都大学, 理学研究科, 教授 (30235238)
川口 喬吾 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 理研白眉研究チームリーダー (00787319)
岩城 光宏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (30432503)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
303,420千円 (直接経費: 233,400千円、間接経費: 70,020千円)
2023年度: 53,170千円 (直接経費: 40,900千円、間接経費: 12,270千円)
2022年度: 54,860千円 (直接経費: 42,200千円、間接経費: 12,660千円)
2021年度: 58,370千円 (直接経費: 44,900千円、間接経費: 13,470千円)
2020年度: 60,320千円 (直接経費: 46,400千円、間接経費: 13,920千円)
2019年度: 76,700千円 (直接経費: 59,000千円、間接経費: 17,700千円)
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キーワード | 情報熱力学 / 一分子計測 / 分子モーター / 1分子計測 / 細胞内環境 / 非平衡多体現象 / クロマチン / 液液相分離 / ヌクレオソーム / 分子混雑 |
研究開始時の研究の概要 |
生体分子モーターのin vitro での1分子計測を契機に、少数分子の非平衡系に対する統計力学・情報熱力学理論が近年大きく発展した。しかし、より生理的な条件あるいは細胞内での生体分子の挙動の理解には至っていない。本研究では、in vitro および細胞内での1分子計測と理論研究のフィードバックにより、細胞内のような本質的に非平衡な混雑環境を前提とした統計力学・情報熱力学の理論構築を行い、実際の生体分子機械に対してこれを適用することで、生体分子機械の設計原理の解明を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、1) 生体分子モーターの多様性と設計原理、2) 細胞内非平衡環境の計測、3) 非平衡多体現象の基礎理論、の3つの項目について研究を行う。 このうち 1) 生体分子モーターの多様性と設計原理については、トレードオフ関係式の理論を発展させるとともに、これに対応した計測系を実現するための装置開発を進めた。一分子計測で測定可能なパラメータを用いて分子モーターの性能にかかわるトレードオフ関係式に対応した一分子計測実験を行うために、高い空間分解能と時間分解能を両立する構造化照明一分子顕微鏡の構築を進め、ナノメートル精度を達成するなどの予備的な結果が得られた。 2) 細胞内非平衡環境の計測については、並進拡散と回転拡散の同時計測を行うための6次元高速一粒子追跡顕微鏡の開発を進めた。細胞内環境を模した高粘度溶液系での回転並進拡散同時計測の実証実験に成功し、half in vitro の系としてアフリカツメガエル卵抽出液を用いた実験系や、artificial な crowder を加えた溶液系での測定を通じて、計測上の課題を明確化し、これを解決するための技術開発に着手した。また、細胞内で拡散粒子に力学的摂動を与えるための操作系の開発も進め、in vitroの系で多数の微粒子を一様に操作できることを確認した。新たに、細胞内での拡散計測のために、自己組織化蛍光ナノ粒子を細胞内に発現させる実験系を確立し、生細胞内での並進拡散計測を再現よく実施するとともに、細胞状態におうじて細胞質の流動性が可逆的に大きく変動することを発見した。 3) 非平衡多体現象については、クロマチン構造転移が1次転移となり遺伝子スイッチとして機能する条件の理論を踏まえ、クロマチン液液相分離についての理論的考察を発展させ、再構成クロマチンを観察するための多色全反射顕微鏡の開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍による影響で一部計画が遅延していたが、その遅れも概ね取り返すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍による影響での遅延の影響が当初懸念されたが、その後の研究の進展により、遅延の影響は概ね取り返すことができている。また、コロナ禍による実験研究が遅延した間に当初計画で想定以上に理論面での成果が得られているおり、その成果を活かす形で研究が進展しつつあり、今後はこの方向で、さらなる研究の発展を期したい。
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