研究領域 | 地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化 |
研究課題/領域番号 |
19H05804
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梅原 さおり 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (10379282)
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研究分担者 |
仁木 秀明 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (00135758)
小川 泉 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (20294142)
時田 茂樹 京都大学, 化学研究所, 教授 (20456825)
宮永 憲明 公益財団法人レーザー技術総合研究所, 研究部, 特別研究員1 (80135756)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
134,160千円 (直接経費: 103,200千円、間接経費: 30,960千円)
2023年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2022年度: 23,530千円 (直接経費: 18,100千円、間接経費: 5,430千円)
2021年度: 23,530千円 (直接経費: 18,100千円、間接経費: 5,430千円)
2020年度: 36,920千円 (直接経費: 28,400千円、間接経費: 8,520千円)
2019年度: 33,930千円 (直接経費: 26,100千円、間接経費: 7,830千円)
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キーワード | 二重ベータ崩壊 / 低バックグラウンド / 稀崩壊 / 蛍光熱量検出器 / 同位体濃縮 |
研究開始時の研究の概要 |
ニュートリノのマヨラナ粒子性(粒子(物質) と反粒子(反物質) の転換可能性) の検証は、「宇宙はなぜ反物質がなく物質でできているのか」、「物質はどこからきたのか」という現在の物質優勢の宇宙の謎の鍵である。ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊の研究は、このニュートリノのマヨラナ粒子性を検証できる基礎物理の重要研究テーマである。本研究では、このニュートリノのマヨラナ粒子性検証のために二重ベータ崩壊測定を行うとともに、次世代高感度二重ベータ崩壊測定技術開発を行なう。
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研究実績の概要 |
本計画では、48Ca同位体のニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊測定を行うとともに、次世代二重ベータ崩壊測定技術開発を行なう。この次世代測定装置開発として、CaF2蛍光熱量検出器開発、48Ca同位体濃縮技術開発を行う。 1)二重ベータ崩壊測定および高純度CaF2結晶開発:神岡地下実験室で取得した二重ベータ崩壊測定データを用いて、48Caの二重ベータ崩壊半減期下限値を得た。また、高純度CaF2結晶開発のために、結晶生成に使用するるつぼの放射性不純物量と結晶の不純物量の関係を調べた。結果、るつぼの不純物量は、mBqレベルでは結晶純度に影響しないことが分かった。 2)48Ca濃縮:シート状原子ビームの効率的な生成法の研究を引き続き行った。ビームプロファイルモニターとして、TOF測定法・膜厚測定法に加えて新たに蛍光モニターの開発も行った。また、注入同期型青紫色半導体レーザーシステムの波長安定性向上のため、レーザー制御モジュールの最適化を行った。レーザー制御モジュールによりスレーブレーザーの発振波長のフィードバック制御を行うことで、3時間の波長変動を0.6 MHz (rms) に抑えることに成功した。また、原子ビームとレーザーを組み合わせた試運転を行い、カルシウムに同期できることを確認した。 3)CaF2蛍光熱量検出器開発:直径50 mm×長さ50 mm円柱状のCaF2結晶に熱量読み出し用MMCセンサーと、光検出用MMCセンサーを実装した蛍光熱量計のデータ解析を進めた。結果、熱・光信号の波形・波高・立ち上がりタイミング差などが各々相関を持っていることが分かった。これらパラメータを使い、機械学習によってエネルギー分解能を改善するための解析ツールの準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響もあり、装置構築に遅れが継続する傾向にあるが、一方、二重ベータ崩壊測定の解析については進んでおり論文として発表した。韓国との共同研究としてCaF2蛍光熱量計を進めるうえで、渡航が困難であったため、大阪大学の希釈冷凍機を使って、同じ測定ができるよう設備の整備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、スレーブレーザーの個数を2個→5個→20個と段階的に増やす計画であったが、システム設計上問題は起こらないと思われるため、一気に20個以上へと個数を増やす。また、複数のスレーブレーザーの波長を精密に安定化させる新手法の開発を目指す。シート状原子ビームの効率的な生成法の研究を、実験及びシミュレーションの双方から引き続き進めていく。前年度製作した真空チェンバーに接続可能なシート状原子ビーム発生装置の設計を行い、固まり次第一部については製作も行う。熱量計は、SQUID量子センサーの納品が完了後、大阪大学にて、直径50 mm×長さ50 mm円柱状のCaF2シンチレータ結晶に熱量読み出し用MMCセンサーと、光検出用MMCセンサーを実装した蛍光熱量計を実現して再現測定を行う。
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