研究領域 | ハイパーマテリアル:補空間が創る新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
19H05820
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
吉田 亮 統計数理研究所, データ科学研究系, 教授 (70401263)
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研究分担者 |
桂 ゆかり (岡本 ゆかり / 桂ゆかり) 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 統合型材料開発・情報基盤部門, 主任研究員 (00553760)
竹森 那由多 (上田 那由多 / 竹森那由多) 大阪大学, 量子情報・量子生命研究センター, 准教授 (10784085)
野澤 和生 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (00448763)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
89,700千円 (直接経費: 69,000千円、間接経費: 20,700千円)
2023年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2022年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2021年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2020年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2019年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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キーワード | マテリアルズインフォマティクス / 準結晶 / データベース / 電子構造計算 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
ハイパーマテリアル(準結晶、近似結晶等)を対象とするマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の学術基盤を構築する。近年、様々な物質・材料を対象にMI の学術基盤が急速に形成されている。しかしながら、ハイパーマテリアルのMI (ハイパーマテリアルズ・インフォマティクス)は未踏領域であり、学術創生に向けた動きは国内外ともにみえてこない。我々はこの未踏領域を開拓する。
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研究実績の概要 |
当該年度の達成事項は、以下の通りである。 (1) 準結晶を形成する化学組成を高精度で予測できる統計モデルを構築することに成功した。実証研究では、3個の安定準結晶を発見することに成功した。さらに、混合相の粉末X線回折のスペクトルから準結晶相の有無を判定する機械学習アルゴリズムを開発し、1個の準結晶を発見した。また、Iwayama et al. J Chem Inf Model (2022)では、関係型変数を予測する機械学習の汎用的アルゴリズムを開発した。この手法を用いて、化学組成から熱伝導率と電気抵抗の温度依存性を予測するモデルを開発し、その逆問題を解き、所望の物性を有する準結晶を形成する化学組成を予測した。 (2) 準結晶・近似結晶の各種物性値の温度依存性の図を過去の論文から抜き出して、デジタルデータ化した。 (3) 2次元8回対称タイリングのフォトニック近似結晶の構造を調査した。その結果、タイリングの頂点および正方形の中心にエアーロッドを配置することで、TEギャップが増大することを明らかにするとともに、タイリングのみにエアーロッドを配置した場合には現れないTMギャップが現れることを明らかにした。また、バンド計算にも適用可能である、縮約密度行列の量子状態推定を行う量子アルゴリズムを開発した。また、これまで我々が予言してきた有限重心運動量をもつ準結晶超伝導状態に関連して、超伝導電流を考慮した場合に、一様系では現れない常磁性電流の異常が現れることを明らかにした。 (4) Ag-In-Yb準結晶2回表面におけるペンタセンについて吸着構造の解析を行い、ペンタセンが準結晶特有の原子構造に優先的に吸着していることを明らかにした。Al13Fe4にPtを微量添加した場合の占有サイトを第一原理計算で調べた。また、Pt, Pd, Niを添加した場合の添加原子および周辺原子の電子構造を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 機械学習による物質探索は順調に進んでおり、これまでに4個の準結晶と10個の近似結晶を新たに発見した(成果をまとめた論文を投稿)。また、半導体準結晶の化学組成を予測する機械学習のワークフローを構築し、合成候補の組成を絞り込んだ。 (2) 各種物性値の温度依存性のデータセットは、141論文中の386個の図から、1,012試料について収集した。TCR対室温電気抵抗率値は、395個の準結晶・近似結晶、2,220個の熱電材料、89個の金属、62個のアモルファス半導体についてプロットした。準結晶・近似結晶のデータは、典型的な金属領域から典型的な半導体領域のすぐ近くまで、連続的に分布していて、半導体準結晶の探索に使う。 (3) フォトニック近似結晶の近似度を変えた場合のバンド構造の変化や、エアーロッドの半径rや屈折率nの変化に対するTE・TMギャップの調査を行った。また、量子状態推定において縮約密度行列を利用する量子アルゴリズムに関して、1次元少数サイトハバード模型を用いて真の値からの誤差がサンプル数にどのようにスケールするかを示した。さらに、一般の非一様系における超伝導電流の表式を書き下し、8回対称準周期タイリングの場合に、局所反磁性電流が電流保存則を破っており、それを補填するために常磁性電流に異常が現れることを解明した。 (4) ペンタセンの吸着に関しては、第一原理計算により5回表面における吸着構造の特定を進めている。Al13Fe4に関しては、第一原理計算で結晶の劈開をシミュレートし、表面原子構造を調べている。また、Pd, Niの占有サイトの特定を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 化学組成から(a)準結晶形成の判別、(b)電気抵抗率、(c)温度係数を予測する三つのモデルを得ることができた。このモデルの逆問題を解くことで、半導体特性を有する準結晶が存在する化学組成を予測できるようになった。今後は実証フェーズを本格化し、半導体準結晶の探索を重点的に推進する。 (2) 組成データからe/aを計算し、タイプ(I相のマッカイ、バーグマン、蔡や、D相)毎の分布を調べる。格子熱伝導率を算出して、傾向を調べる。電気抵抗率以外の各種物性値についても、データの収集を続ける。 (3) 引き続き、フォトニック準結晶のバンド構造を調査し、そのギャップについて議論する。さらに、開発した高次元周期構造を利用したフォトニック準結晶のバンド計算プログラムをGithubで公開する予定である。また、縮約密度行列の量子状態推定に関する量子アルゴリズムの開発も続け、準結晶の実空間基底での超伝導状態を取り扱うための高次縮約密度行列の推定アルゴリズムを開発する予定である。超伝導電流については、ハニカム格子と、最近発見された6回対称タイリングを調査し、類似する回転対称性を持つ構造上でも常磁性電流の振る舞いに違いが出ることを確かめる。 (4) ペンタセンの吸着に関しては2回、5回表面に加えて3回表面についても調べ、Ag-In-Yb準結晶表面上でのペンタセン吸着に関する包括的な理解を目指す一方で、応用面での可能性を模索する。Al13Fe4に関しては、触媒への応用を視野に入れ、高い活性・選択性を実現する添加元素を探索する。
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