研究領域 | クオリア構造と脳活動から得られる情報構造の関係性理解 |
研究課題/領域番号 |
20H05710
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
土谷 尚嗣 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 客員研究員 (80517128)
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研究分担者 |
森口 佑介 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80546581)
西郷 甲矢人 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (80615154)
Steven Phillips 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (90344209)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2021年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 意識 / クオリア / 情報 / 構造 / 圏論 / 大規模心理実験 / 心理物理実験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、1)意識の質・クオリアの構造を明らかにする新しい心理物理学手法と、2)クオリア構造を数理現象学的に特徴づける手法、の二つを確立することである。
クオリアを直接定義することは難しいが、あるクオリアと他のクオリアとの類似性は容易に記述できる。「関係性から見た間接的定義」を、近年土谷が開発した「大規模報告課題」と組み合わせ、大規模に視覚クオリアとその周辺の関係性を調べ、視覚クオリアを特徴づけるという新しい意識研究手法を確立する。また、関係性をもとにクオリアを特徴づけるための数学的根拠を検証する。これらを通じて、これまで不可能と考えられていたクオリアの定義問題に大きな変革をもたらす。
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研究成果の概要 |
本研究領域の目的は、意識の質(クオリア)について、クオリア間の関係性に着目し、その特徴付けに関して数学的基礎を確立し、また実験パラダイムを構築することであった。具体的には、1)数学の圏論における「米田の補題」を意識研究に導入し、多数のクオリア同士の間の大規模な類似性関係性からクオリア構造を得るというアイデアに数理的基礎を与えた。2)これを基に、大規模報告課題を確立し、長い間哲学・心理学で議論の続いていた周辺視野における色クオリアについて、色クオリア間の類似性を基にしたクオリア構造に基づき、中心窩(fovea) と周辺視野では、色のクオリア構造が同じ(equivalent)であることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、クオリアというこれまで定量化ができないと考えられていた主観の質に関して、それらの間の関係性を大規模に計測することで、クオリア間の類以度構造を比較する、という定量的科学手法に、数学的な基盤を与えたことである。さらにそれを実験的に利用可能な具体的手法として実現したことが大きい。これらのアイデアは学術的に大きなインパクトを残し、国際的に注目され、海外からの学会のキーノートスピーカー招待などにつながった。社会的にも色のクオリア構造を定型発達と色覚異常の方々で比較するという具体的な方法を提供し、今後の相互理解なども含めた活動につながっていく。
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