研究領域 | 高分子材料と高分子鎖の精密分解科学 |
研究課題/領域番号 |
20H05734
|
研究種目 |
学術変革領域研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 浩太郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70377810)
|
研究分担者 |
石曽根 隆 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (60212883)
|
研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2022年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2021年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2020年度: 17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
|
キーワード | リビング重合 / 精密分解 / ドーマント種 / 化学分解 / 重合活性種 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、高分子の分解が、海洋問題をはじめとして、様々なシチュエーションにおいて、深刻な問題となってきている。本研究では、精密高分子合成反応で培った知見をもとに、合成とは逆の分解反応の制御が可能なユニットの設計・高分子鎖への導入を行い、精密分解可能な新規高分子材料の設計指針を探索する。とくに、従来、精密重合において副反応制御に用いられてきた安定な共有結合種を用い、分解の活性種へと変換する未開拓の分解性高分子材料の設計手法を提案し、高分子材料の性質を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究では、精密重合で培った知見をもとに、化学分解の制御が可能なユニットの設計・高分子鎖へ導入し、誘発分解による精密分解可能な新規高分子材料の設計指針を探索する。 本年は、とくに以下の点について検討を行う。 1.ドーマント種の導入による分解制御技術の探索: 使用時の高安定性と使用後の易分解性を両立した材料設計を達成するために、これまでに精密重合において副反応の抑制に用いられてきた共有結合種(ドーマント種)の概念を用いる。今年度、炭素-ハロゲン結合や硫黄結合など触媒や光などの刺激で種々の活性種へと活性化可能な化学結合を末端や側鎖に導入した高分子の合成法を模索した。とくに、側鎖に直接あるいはモノマー1ユニットを介して導入したラジカル発生可能なモノマーを設計することで、高分子主鎖に複数のラジカルを生じさせる方法で安定な高分子を合成し、側鎖から主鎖へラジカル転位が選択的に生じ、誘発分解が可能であることを見出した。また、開環ラジカル重合など他の手法による分解性ユニット導入および精密分解についても可能性を明らかにしつつある。 2.モデル分子を用いた高分子の化学分解の再評価と体系化: 高分子鎖を形成する様々な化学結合に着目し、熱、光、酸化、加水分解など様々な利用環境下における分子レベルでの化学分解が生じる反応機構を再評価するためのモデル分子の合成を行っている。とくに、今年度は特にポリエステルについて、種々の重合度や末端構造を有するポリεカプロラクトンを合成し、領域内でサンプル提供を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高分子化学分解が生じる反応機構を再評価するためのモデル分子の合成実験の過程で、反応収率が予想以上に低く、サンプル提供のためのスケールアップを実施することが想定以上に困難なことが判明した。研究遂行上、高収率でモデル分子を合成できる条件設定でスケールアップを行い、サンプル提供が必要なため、使用する触媒や溶媒、温度など反応経路の設定を再検討した上で、再度合成実験を行うことが必要となった。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、合成とは逆の分解反応の制御が可能なユニットの設計・高分子鎖への導入を行い、精密分解可能な新規高分子材料の設計指針を探索する。とくに、従来、精密重合において副反応制御に用いられてきた安定な共有結合種を用い、分解の活性種へと変換する未開拓の分解性高分子材料の設計手法を提案し、高分子材料の性質を明らかにする。
|