研究領域 | 生体分子工学と低物理エネルギーロジスティクスの融合による次世代非侵襲深部生体操作 |
研究課題/領域番号 |
20H05756
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水野 操 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (10464257)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
38,090千円 (直接経費: 29,300千円、間接経費: 8,790千円)
2022年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2021年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2020年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | タンパク質ヒーター / 光熱エネルギー変換 / 振動エネルギー移動 / アンチストークスラマン散乱 / 時間分解共鳴ラマン分光法 / ヘムタンパク質 / アンチストークス散乱 / 分光学的温度計 |
研究開始時の研究の概要 |
熱は細胞内において情報伝達因子である。熱シグナルによる情報伝達の機構解明と制御のためには、細胞内での効率的かつ部位選択的な加熱技術が求められている。本研究では、外部からの光エネルギー入力によって熱シグナルを生み出すレシーバ分子として、高効率の分子ヒーターとして働くタンパク質(タンパク質ヒーター)を開発する。そのために、時間分解共鳴アンチストークスラマン分光法により、アミノ酸残基単位でタンパク質分子内熱伝導機構を解明する。得られた機構の理解に基づき、熱伝導に関与する構造因子を最適化したタンパク質ヒーターによる細胞加熱技術を創出する。
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研究成果の概要 |
ヘムタンパク質において、ヘムの光励起により生じた余剰振動エネルギーの散逸過程を、タンパク質に含まれるトリプトファン残基のアンチストークスラマン散乱を分光学的プローブとして、アミノ酸残基単位で時空間マップした。タンパク質の特徴的な構造を利用して、エネルギーフローのヘムからの距離依存性を観測し、タンパク質が密なパッキングにより高い熱伝導性を持つことを明らかにした。また、トリプトファンのアンチストークスラマン散乱強度が、非平衡状態のタンパク質内局所温度を決定する優れた分光学的温度計になることを実証した。さらに、ヘムタンパク質がタンパク質ヒーターとして十分な加熱能を持つことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
タンパク質を細胞中で分子ヒーターとして利用した熱シグナルによる細胞操作はこれまでに例がない。本研究では、ヘムタンパク質が高効率な光熱エネルギー変換分子ヒーターとして機能することを、分子内熱伝導機構の解明および水溶媒加熱能計測により明らかにした。タンパク質ヒーターは、生合成されるため生体への負荷が非常に小さく、遺伝子工学により細胞内の特定のオルガネラに局在できる。光熱変換タンパク質ヒーターを用いた細胞内熱シグナルの制御は、高い加熱効率かつ高い空間選択性という点で従来法に比べて優位性があり、オプトジェネティクスに比肩する革新的な細胞操作技術の創成に本研究成果は重要な知見を与えた。
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