研究領域 | 冬眠生物学~哺乳類の低代謝・低体温による生存戦略 |
研究課題/領域番号 |
20H05768
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 |
研究代表者 |
富永 真琴 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 教授 (90260041)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
31,720千円 (直接経費: 24,400千円、間接経費: 7,320千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2021年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2020年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
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キーワード | 冬眠 / 休眠 / 温度受容 / 温度感受性TRPチャネル / 視床下部神経 |
研究開始時の研究の概要 |
温度感受性TRPチャネルの冬眠・休眠への関与を明らかにする。そのために、1) 視床下部神経細胞に発現する温度感受性TRPチャネルを同定し、その発現や機能を解析する。2) 冬眠・休眠する動物での温度感受性TRPチャネルの発現解析・機能解析を行う。3) 深冬眠導入時に全身で発現が大幅に変化する転写抑制因子Nr1d1と低温性Ca2+シグナリングの連関において、細胞内Ca2+ダイナミクスを引き起こす細胞外からの流入経路としての温度感受性TRPチャネルの意義を明らかにする。
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研究成果の概要 |
種々の動物のTRPA1チャネルの温度応答を、パッチクランプ法を用いて解析した。ハムスターTRPA1、ラットTRPA1は少ない回数ではあるが冷刺激に応答したが、マウスTRPA1は冷刺激に応答しなかった。活性化温度閾値は約15度であった。ハムスター、マウス、ラット、シマリス、十三線ジリス、ヒトTRPA1はすべて熱刺激に応答した。ハムスターの熱応答が最も大きかった。活性化温度閾値は体温近傍であった。TRPA1の低温感受性に関しては議論があるが、稀にしか観察できないことが分かった。一方、種々のTRPA1が熱刺激感受性を有していることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
体温近傍の熱刺激による大きなTRPA1電流が観察されたことは、TRPA1が体温調節に関わっていることを示唆する。温度感受性TRPチャネルが脳で体温制御に関わっていることの初めての発見である。脳、特に視床下部でどのような入力情報から体温制御がなされているかは未だ明らかでなく、学術的意義は大きい。また、温度感受性TRPチャネル、特にTRPA1の機能制御によって体温制御が可能なことを意味し、体温制御の新しい方法としての社会的意義も大きい。このTRPA1を介した体温制御は、冬眠における積極的体温低下に関わる可能性がある。
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