研究領域 | 細胞運命操作による植物生殖システムのリモデリング |
研究課題/領域番号 |
20H05780
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岡 尚平 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (00378770)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
33,410千円 (直接経費: 25,700千円、間接経費: 7,710千円)
2022年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2020年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
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キーワード | 生殖細胞分化 / 配偶子形成 / 転写因子 / 花粉 / ゼニゴケ |
研究開始時の研究の概要 |
コケ植物と被子植物のモデルを比較解析することで,陸上植物で進化的に保存された配偶子の分化運命決定メカニズムを明らかにする.シロイヌナズナの分子遺伝学解析とベンサミアナタバコ花粉での1細胞レベルでの解析技術を駆使し,花粉における精細胞形成のメカニズムを解明する.運命決定に関わる転写因子の共発現誘導により,体細胞からの花粉配偶子系列細胞のin vitroでの分化誘導系の構築を試み,植物配偶子形成システムのリモデリングを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究では、陸上植物で進化的に保存された生殖細胞分化因子BONOBO (BNB)の作用機序解明を通じて、花粉における精細胞形成の分子機構と、植物生殖細胞の分化機構の進化的保存性を明らかにするとともに、BNB発現の人為的操作により、配偶子系列細胞の分化誘導系の構築を目指す。 今年度は、シロイヌナズナのBNB誘導発現系から複数のBNB標的遺伝子候補を得た。その中には既知の精細胞形成において中心的な役割を果たす遺伝子群が含まれており、トランスアクティベーションアッセイなどによる検証の結果、BNBはこれらの遺伝子を直接的に活性化することが示唆された。また、別候補であるエピゲノム制御に関わると推測される未知遺伝子について、ゲノム編集によるノックアウト変異株を得て機能解析を行った。その結果、この遺伝子は雄原細胞分化時に活性化し、花粉形成の初期過程に必要な代謝経路の制御に関わることが示唆された。今後の解析のため、雄原細胞分化の成否を可視化したシロイヌナズナの新規マーカーラインを作成した。また、水多班との共同研究により、ベンサミアナタバコでのBNBオルソログのゲノム編集を行い、ノックアウト変異株を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主目的の1つである花粉の精細胞形成の分子機構解明について、BNBと精細胞形成関連遺伝子群との関係を明らかにできる見通しが立った。また、BNBの標的・下流遺伝子同定とその機能解析、ベンサミアナタバコのBNBオルソログの解析も進展している。もう1つの主目的である、体細胞から配偶子系列細胞を分化誘導する試みも、BNB異所発現系の結果から、実現の可能性が高まったと考えている。このように本研究で期待した成果が得られつつある一方で、ゼニゴケのBNB標的・下流遺伝子の解析などの課題については、今後研究を加速させる。
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今後の研究の推進方策 |
BNBの標的配列解析と新規マーカーラインを用いた雄原細胞分化のトランスクリプトーム解析により、シロイヌナズナBNBの下流メカニズムの全体像を明らかにする。特に、BNBと精細胞形成関連遺伝子群との関係を明確にする。現在解析中のエピゲノム制御関連遺伝子の機能を明らかにする。ゼニゴケにおいて配偶子器始原細胞のトランスクリプトーム・BNB標的配列解析を行い、植物生殖細胞の分化運命決定の進化的保存性について調べる。ベンサミアナタバコのBNBオルソログ変異株を得て、ライブイメージング解析により雄原細胞の分化前後における花粉の細胞内膜構造の動態を明らかにする。
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