研究領域 | 翻訳速度調節機構を基盤としたパラメトリック生物学の創成 |
研究課題/領域番号 |
20H05783
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
土居 雅夫 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20432578)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
39,780千円 (直接経費: 30,600千円、間接経費: 9,180千円)
2022年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2021年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2020年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
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キーワード | 体内時計 / 翻訳 / uORF / 体温 |
研究開始時の研究の概要 |
生物時計は、地球の自転に伴う昼夜の規則正しい環境変動に体内の代謝応答等を同調させる、生命にとって最も根源的な「時間」の仕組みである. これまでの時間生物学分野では、「昼と夜」のような、二値化されたシグナルへのリセット機構が主に解析されてきた. 一方、自然環境の変化は、連続的でゆるやかなものがほとんどである. にもかかわらず、このような連続的な変化の影響は軽視されており、その根幹となるパラメトリック制御機構は現在でも全くわかっていない. 本研究ではいまだ謎の翻訳速度調節機構がこの体内時間のパラメトリック制御の鍵を握る重要な分子プロセスであるとの仮説を立て、その検証を班員らの開発技術を用いて行う.
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研究成果の概要 |
昼夜でおおきく変化する環境下において恒常的に健康を維持するためには全身の37兆個もの細胞がそれぞれバラバラではなくテンポを揃えてリズムを刻む必要がある。これまでに、体内でおこる数℃レベルの基礎体温の変化が全身のリズムの調和に寄与すると示されてきたが分子機構が不明であった。このような中、我々は、時計遺伝子Per2の5’UTRに最小単位uORFという新しいRNAエレメントを同定し、これが体温に応じた細胞のリズム位相合わせに必須であることを示した(Cell Rep 2023)。uORFを介したPer2の翻訳制御は効率的な傷の治癒に寄与するため医学的にも重要と考えられる(科学新聞2023/3/17)。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
全身の体内リズムの不調和は、多くの病気の原因になることが知られている。したがって、今回の生理的体温変動への体内時計の調和を仲介するRNAエレメントの発見は、全身の細胞リズムの調和に基づいた新しい治療薬の開発の土台につながなる可能性がある。また今回の発見は、翻訳のスピード調節をつかさどるRNA配列uORFの生体における役割を動物個体レベルで明らかにした初めての例であり、その学術的および社会的重要性からJSTの海外向け科学ニュースサイト「Science Japan」においても本研究の成果が紹介された(https://sj.jst.go.jp/news/202304/)。
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