研究領域 | 翻訳速度調節機構を基盤としたパラメトリック生物学の創成 |
研究課題/領域番号 |
20H05785
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原田 慶恵 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10202269)
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研究分担者 |
岡部 弘基 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (20455398)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
38,090千円 (直接経費: 29,300千円、間接経費: 8,790千円)
2022年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2021年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2020年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | パラメトリック / 細胞内温度計測 / 細胞内局所加熱 / 翻訳速度 / 翻訳 |
研究開始時の研究の概要 |
翻訳速度は一定ではなく、ダイナミックに変動し複雑な遺伝子発現を可能としている。しかし、パラメトリックな翻訳を駆動する物理化学機構は不明である。先行研究で発見した細胞内局所に時空間的な温度変動があること、さらに翻訳は細胞内エネルギーの約50%を費やすことから、本研究では、翻訳速度に与える物理化学的機構として細胞内温度に着目する。独自の細胞内局所温度の計測法や局所温度操作法を用いて、mRNAの一分子イメージングにより記述する翻訳複合体の状態、翻訳装置の生化学的状態や特定遺伝子の翻訳速度、神経機能を担う局所翻訳に与える温度シグナリングの影響を詳細に解明する。
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研究成果の概要 |
細胞内局所において翻訳速度を制御する機構は不明である。翻訳は最大の細胞内エネルギー消費反応であることから、本研究では、翻訳速度に与える物理化学的機構として細胞内温度に着目し、細胞内局所のパラメトリックな翻訳速度調節の駆動力として細胞内局所での発熱および温度不均一性の関与を検証した。蛍光性ポリマー温度センサーを用いた細胞内温度計測法を用いて翻訳が細胞内温度に与える影響を詳細に調査し、細胞内温度が翻訳に密接に関与することを見出した。また、遺伝子発現の大きな変化を伴う神経分化において転写や翻訳が発熱を示すこと、また加熱により分化が促進されることを発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
翻訳速度変化は注目を集めているにも関わらず、その物理化学機構は一切不明であった。これに対し、本研究では細胞内温度変化という独自の技術と発見に基づいた視点でその謎に挑戦した。学術的創造性 翻訳速度と細胞内温度変動の関連を解明することは、細胞微小空間における温度変化が細胞機能に貢献する「温度シグナリング」の作用点を明らかにすることにもつながり、細胞内における適応的遺伝子発現調節に関する新機軸となる。従来知られている化学シグナリングやmRNAの配列による翻訳速度調節原理とは異なり、細胞内物理化学環境の変化による緩やかかつダイナミックな翻訳制御機構が、遍く難解な生命現象を紐解く新たな鍵となる。
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