研究領域 | 組合せ遷移の展開に向けた計算機科学・工学・数学によるアプローチの融合 |
研究課題/領域番号 |
20H05794
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川原 純 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (20572473)
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研究分担者 |
飯岡 大輔 中部大学, 工学部, 准教授 (30377808)
戸田 貴久 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50451159)
宋 剛秀 神戸大学, 情報基盤センター, 准教授 (00625121)
鈴木 顕 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (10723562)
照山 順一 兵庫県立大学, 社会情報科学部, 助教 (40709862)
中畑 裕 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50942067)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
43,550千円 (直接経費: 33,500千円、間接経費: 10,050千円)
2022年度: 15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2021年度: 15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2020年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | 組合せ遷移 / グラフアルゴリズム / SAT / モデル検査 / ゼロサプレス型二分決定グラフ / 二分決定グラフ / 配電網の開閉器切替 / 配電切替 / SATソルバー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の大目標は「組合せ遷移に対する実装技術の構築と産業応用」であり,組合せ遷移の理論研究と産業応用の橋渡しとすべく,共通のコミュニケーション基盤となるソフトウェア開発を目指す.そのために本計画研究では,(i) 3つの技法を用いて組合せ遷移の汎用ソルバーを開発し,それを用いて (ii) 配電制御システムを題材とした産業応用を実践することで具体的な応用事例を提示する.本計画研究 (B01班) では,組合せ遷移のアルゴリズム設計技法 (A01班) や数学理論を用いた前処理技術 (C01班) を活用しながら,組合せ遷移アルゴリズムを利活用するための土台を作り上げる.
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研究実績の概要 |
本研究では組合せ遷移の実装技術の構築とその産業応用に向けて、研究開発の共通基盤となるソフトウェア開発を目標とする。2年目にあたる本年度は、初年度に設計を行った独立集合遷移問題に対するアルゴリズムを発展させ、全域森遷移問題やマッチング遷移問題等、多くの組合せ遷移問題に対して適用可能な汎用的な技法の研究開発を行った。複数のアプローチを考案しているが、その中でも二分決定グラフ(ZDD)と呼ばれるデータ構造を用いた方法や、モデル検査技術を用いた方法により、個々の組合せ遷移問題に対してではなく、多くの問題に適用可能な統一的な方法で解くための枠組みを整備した。複数のアプローチの比較検討も行い、特にZDDの方法は、遷移長の長い問題例を得意とすること等が判明している。研究発表を行い、LA/EATCS-Japan 発表論文賞を受賞した。 本年度はさらに、組合せ遷移技術の配電網への適用も検討した。配電網の開閉器の切替時には、既に通電している区間の停電は許されず、従来の方法では対処が難しかったが、新たに条件を満たす遷移方法を設計し、400個以上の開閉器からなる実際の配電網をモデル化したベンチマークデータについて切換手順が算出可能であることを確認した。 組合せ遷移の実装技術の統一的評価や、ソルバー技術のコミュニティ醸成を意図した、組合せ遷移技術の競技会「CoRe Challenge 2022」を主催した。初年度に整備したベンチマークデータに、理論面からも意味のあるデータを加えて充実させ、競技会用のデータとして提供した。 組合せ遷移ソルバーに他の研究者や実務家がアクセスしやすいよう、GUIインターフェイスの開発も行った。グラフの編集機能や、開始集合と目標集合を設定する機能を備え、独立集合遷移問題を解いた結果を1ステップずつ表示する。ソフトウェアは Windows/Mac/Linux に対応している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に予定していた、様々な組合せ遷移問題に対する汎用的なソルバー設計と実装を達成しており、さらに当初予定していなかった競技会の主催等の活動も進めている。配電網の開閉器切替への組合せ遷移技術の適用や、GUIソフトウェア開発も当初の予定通りに進んでいる。おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、これまで開発してきた組合せ遷移問題を解くためのゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)を用いた方法やモデル検査を用いた方法等の複数のアプローチを統合し、様々な種類の組合せ遷移問題や、入力データに対して、高速に動作する統合ソルバーを開発する。開発したソルバーが、配電網の開閉器切替やコンテナ配置問題、選挙区割の遷移問題、最短経路の遷移問題等の様々な適用事例に対して利用できることを示す。 独立集合遷移問題を解くためのGUIインターフェイスを発展させて、全域木遷移問題やマッチング遷移問題等、様々な遷移問題を一般の利用者が解くことが可能なGUI(ユーザインターフェース)付きソフトウェア開発も行う。プログラマが利用しやすいように Python 言語から利用可能なインターフェイスやライブラリも整備し、GUIでは難しい複雑な操作を可能にする。開発したソフトウェアはドキュメントを付けて公開する。
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