研究領域 | 生涯学の創出-超高齢社会における発達・加齢観の刷新 |
研究課題/領域番号 |
20H05801
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺本 渉 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (30509089)
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研究分担者 |
日高 聡太 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (40581161)
川越 敏和 東海大学, 文理融合学部, 特任講師 (70786079)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
70,980千円 (直接経費: 54,600千円、間接経費: 16,380千円)
2024年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2023年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2022年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2021年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2020年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 実験心理学 / 加齢 / 異種感覚統合 / 注意 / 学習 / 加齢変化 / 補償 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者においては老視や老人性難聴,注意機能低下など知覚・認知レベルでの機能低下は顕著である一方、自動的かつ無意識的な処理などはある程度維持されている。しかし、高齢者で維持されている機能が、必ずしも若年者と同じ心的メカニズムで実現されているわけではない。実際、高齢者は「見る」行為でも別の感覚情報をより多く使って補償しているという報告がある。本研究ではそのような機能の存在とメカニズムを明らかにする。そして、高齢者の知覚・認知の可塑性を最大限に引き出し、よりよい生活を行うための方法を提言する。
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研究実績の概要 |
高齢者においては,感覚・知覚機能は低下する一方,それを補償する機能の存在も知られている。また,一見すると若年者と同様に維持されているように見える負荷の低い処理,自動的かつ無意識的処理であっても,その背後には衰えた心的機能を補償する別のプロセスが働いている可能性がある。本研究では,特に異種感覚情報処理に着目してそのような補償機能の存在を確認し,補償される機能とれない機能,補償の最適条件や仕組みを調べることによって,高齢者の知覚・認知の特性を正しく捉えなおし,その可塑性を最大限に引き出す最適な方法を見いだすことを目的としている。特に日常の基礎をなす知覚情報処理過程である【A】選択的注意,【B】プライミング及び【C】知覚学習の自動的かつ無意識的な側面を主たる検討対象として検討を行っている。 第2年度の本年度は視覚探索課題を用いて【A】【B】【C】に関する検討を行った。負荷の高い課題について聴覚情報が視覚探索に与える影響を調べた結果,非空間的な音の提示によって標的が見つけやすくなるPip-and-pop効果が,高齢者でも若年者と同程度に生じることを明らかにした。しかし,当初促進効果が期待されていた視覚探索における聴覚情報による文脈手がかり効果(何度も提示される刺激配置については無自覚に学習する効果)については見られなかった。他にも「感覚の困りごと」に関するオンラインアンケート調査を行い,視覚と聴覚の困りごとは他の感覚や身体運動機能に比べて顕著であることがわかった。ただし,視覚と聴覚を比べた時には,視覚はメガネ等の補助具によって機能低下を補償される一方,聴覚については補聴器等を用いている人が極めて少ないため,視覚情報による聴覚の補償の方がより顕著に生起する可能性があることを示すものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い,長期にわたって対面で高齢者を対象とした実験を十分に実施できなかったため,当初計画よりも「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
【A】については視覚探索における聴覚情報の効果についてさらに分析をすすめる。【A】【B】【C】の全てに関わる視覚探索における文脈手がかり効果については現在のところ加齢変化や補償作用が見られていないが,刺激設定を変更して再実験を行い補償の最適条件を見出す。他にも視覚情報による聴覚の補償の補償として音声知覚における視覚情報の影響を調べる。
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