研究領域 | 生涯学の創出-超高齢社会における発達・加齢観の刷新 |
研究課題/領域番号 |
20H05803
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松井 三枝 金沢大学, GS教育系, 教授 (70209485)
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研究分担者 |
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 教授 (20334774)
木下 雅史 金沢大学, 医学系, 講師 (50525045)
菊谷 まり子 金沢大学, GS教育系, 准教授 (60707412)
吉澤 浩志 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70318070)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
71,630千円 (直接経費: 55,100千円、間接経費: 16,530千円)
2024年度: 15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2023年度: 15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2022年度: 15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2021年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2020年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
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キーワード | 認知予備力 / 脳神経疾患 / 認知機能 / メンタルヘルス / 神経可塑性 |
研究開始時の研究の概要 |
新しい生涯観の下でヒトの一生を支える脳とこころの機能維持に資する機構を解明するための検討をおこなう。 1.予防的な観点から大学生や健常成人を対象としたメンタルヘルスと認知予備力および認知機能活性の効果の検討 2.精神疾患(統合失調症および気分障害)・神経疾患・認知症における認知予備力と認知機能改善へのアプローチと社会復帰との関連の検討 3.脳損傷患者の認知機能と認知予備力の関連を検討し、術後回復力予測のためのデータを構築
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研究実績の概要 |
認知機能という観点から、幅広い年齢を対象としたメンタルヘルスと適応性の調査を行ない、認知予備力やレジリエンス等との関係の検討を行った。さらに、脳外科的疾患、精神疾患および認知症患者における認知機能と認知予備力等における検討を進めてきた。 健常者の余暇活動を行う際に必要となる認知的、身体的、社会的な要素について検討した結果、最終的に86種類の余暇活動に対して3つの要素を決定することができ、それらの得点とメンタルヘルスとの間には正の関係があることが示された。さらに、新しい職業分類法O*NETからの日本版仕事の複雑性スコアを開発し、健常者におけるそれらと認知機能との関係を検討した。 双極性障害患者における認知機能の潜在的な保護因子を明らかにするために、認知機能と認知予備力及びレジリエンスの関連性について、神経心理学的検査、発症前のIQ、教育年数、余暇活動経験数、レジリエンス尺度を用いて、患者と健常対照者を対象に横断的調査を行った。身体活動や睡眠状態を調整して検討した結果、双極性障害患者の言語流暢性、物語記憶、言語記憶が、余暇活動経験と関連することが認められた。これらのことから、認知予備力を高めることは、双極性障害患者の言語に関連する高次認知機能に影響を与える可能性があることが示された。 脳腫瘍摘出手術を受けた脳腫瘍患者を対象に、白質神経線維束の損傷を考慮して、認知予備力(病前推定IQ)が高いことが術後の言語性短期記憶と機能的転帰に有益な影響を及ぼすかを検討した。結果、左半球病変患者において、左弓状束の損傷は、言語性短期記憶、ワーキングメモリ、全般性認知機能を通じて術後の機能的能力に影響を与えることが示された。右半球病変患者では、右帯状束の損傷だけでなく、病前IQの高さが言語性短期記憶、ワーキングメモリ、全般性認知機能を媒介して、機能的能力に正の影響があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としてきた認知予備力測度についての健常者の検討および精神疾患と神経疾患の研究の応用をすすめることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
A.健常成人のメンタルヘルスと認知機能活性・認知予備力との関係 健常者でおこなったメンタルヘルスの調査と認知予備力の関係を引き続き検討する。認知予備力については、教育歴、仕事歴、余暇活動経験、病前知能を指標として、標準化された半構造化面接によって聴取する。聴取された情報から認知予備力指数(CRIq)を求めることが可能となる。この際、代表者が開発してきた認知機能活性のための日本語版CRIqの妥当性の検討を引き続きおし進める。また、健常者の認知機能と認知予備力および脳機能画像との関係を調べるためのデータ収集と解析をおし進める。 B.統合失調症・気分障害患者の認知機能と日常生活/社会機能および認知予備力との関係 統合失調症と気分障害患者の認知機能と日常生活機能および認知予備力との関係の検討をおこなうためのデータ収集をおこなう。認知機能検査として、処理速度、記憶、注意、遂行機能を含む神経心理検査バッテリーを実施する。日常生活/社会機能についても聴取する。認知予備力については、教育歴、仕事歴、余暇活動経験、病前知能を指標として、Aの調査と同様標準化された半構造化面接 によって聴取する。聴取された情報から認知予備力指数(CRIq)を求め、認知機能検査の結果との関係を調べる。 C.器質性脳疾患および認知症の認知予備力と認知機能・日常生活機能および脳病変との関連 認知機能検査・日常生活機能評定と認知予備力項目を聴取し、症例を積み重ねる。また、通常臨床で撮像されている脳画像検査(MRI)にもとづいて、脳の病変部位を同定し、その大きさを測定し、それらと認知予備力指数との関連を検討する。さらに、安静時の機能的脳画像(fMRI)も通常臨床で撮像されており、脳機能(脳活性状態)に関する分析も行ない、同様に認知機能や認知予備力指数との関連を検討するために、引き続きデータを蓄積する。
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