研究領域 | 中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ |
研究課題/領域番号 |
20H05822
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
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研究分担者 |
中込 滋樹 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員准教授 (40625208)
石谷 孔司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40826062)
澤藤 りかい 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 日本学術振興会特別研究員(CPD) (50814612)
和久 大介 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教 (60793578)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
91,130千円 (直接経費: 70,100千円、間接経費: 21,030千円)
2024年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2022年度: 19,890千円 (直接経費: 15,300千円、間接経費: 4,590千円)
2021年度: 19,500千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 4,500千円)
2020年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
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キーワード | パレオゲノミクス / 中国考古学 / 遺跡出土骨 / 新石器時代 / 古人骨 / 東アジア / 中国 / 日本 / 新石器時代後期 / 古代ゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
古代中国内外との文化的ハイブリディティ形成過程において、社会の最小単位である個人が他地域文明の個人とどの様に接触し、その交流が各地域文化内でどの様に社会的に受容されていたか、その実態は未だ不明な点が多い。また、西方からの古代中国への文化的インパクトが生じる過程では、もともと中国にはいなかった家畜・野生種・微生物も併せて侵入してきたと考えられる。これら多様な生物群の伝播ルートは、未だその実態を示す直接的な証拠は得られていない。本計画研究では、大規模な古代ゲノムデータ解析を可能とする専用プラットフォームを構築することで、古代中国文明形成期における中国内外のハイブリディティの可視化を試みる。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に軌道修正した研究プランに沿って研究を進めた。まず、中国内の遺跡出土人骨から得られている既報ゲノムデータを再解析した。新石器時代前期から後期の遺跡出土人骨のゲノムデータを常染色体ゲノムと性染色体ゲノムに分けて、それぞれのゲノムの挙動の違いを評価し、性別間でヒトの移動に差があったか包括的な評価を試みた。その結果、新石器時代後期における中国北部の西遼河流域において、男性が黄河流域から大規模に移動している痕跡を発見した。これまで報告されていない現象を捉えたため、学術誌に解析結果を投稿し、現在査読中である。さらに、中国内の古代ゲノムデータをimputation法によって標準化し、低クオリティデータでも一定精度でゲノム解析が可能な環境を作った。このデータセットに基づいて再解析し、各時代・各地域における推定有効集団サイズと遺伝的多用度を算出した。これらの結果に基づいて、各地域の新石器時代におけるヒトの集団サイズの変動と、考古学情報とのすり合わせを行い、中国文明の勃興の中心地である中原との比較から、地方都市と中原とのヒトの集団サイズの比較を進めている。これらの結果をまとめたのちに、考古学との学融合研究の内容について学術誌へ投稿する予定である。また、オンサイトパレオゲノミクスの研究開発を加速させるために、昨年度末に購入したオックスフォードナノポアの次世代シーケンサーであるP2 Soloを使用し、超低分子DNAでも解析可能な前処理および解析環境を整備した。その結果、一晩でフローセル2個使用した場合、2個体から全ゲノムのカバレッジ1xを世界で初めて達成することができた。この分析手法および解析手法に関する内容について、学術誌への投稿準備を進めた。また、動物および堆積物のゲノム解析についても引き続きデータ解析を進め、学術誌への投稿準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度から中国調査が実施できず、当初の予定よりもコロナ感染拡大とその後の中国内の調査環境の改善が見込まれない状況であったため、本年度は軌道修正したプロジェクトに注力した。ゲノム再解析やオンサイトパレオゲノミクスの研究が順調に進展し、その成果について論文化の目処がついた。今後も同様のストラテジーで成果について論文投稿し、成果公開が見込まれるため、最終年度までに当初のプロジェクトであった中国文明研究におけるパレオゲノミクス研究の応用が達成できるため、進捗状況の区分を「(2)おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施した中国新石器時代人骨の再解析をさらに進め、その成果を海外学術誌に投稿して成果公開を行う予定である。また、オンサイトパレオゲノミクスが可能になったため、海外の遺跡で実践的な応用を試みる。住家性ネズミのゲノム解析および中央アジアの堆積物のゲノム解析の結果を学術誌に投稿し、成果発信をしていく予定である。
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