研究領域 | イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築:世界の分断をのりこえる戦略知の創造 |
研究課題/領域番号 |
20H05827
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
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研究分担者 |
秋葉 淳 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00375601)
黛 秋津 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00451980)
長縄 宣博 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (30451389)
太田 信宏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40345319)
真下 裕之 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (70303899)
堀井 優 同志社大学, 文学部, 教授 (70399161)
馬場 多聞 立命館大学, 文学部, 准教授 (70756501)
沖 祐太郎 九州大学, 法学研究院, 専門研究員 (90737579)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
70,850千円 (直接経費: 54,500千円、間接経費: 16,350千円)
2024年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2023年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2022年度: 15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
2021年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2020年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | イスラーム国家 / コネクティビティ / 信頼構築 / 国際法 / 帝国エリート / 国家体系 / カリフ / アフドナーメ / イスラーム国家体系 / ムスリム諸国家 / 外交 / アフド・ナーメ |
研究開始時の研究の概要 |
垂直方向の視点で捉えられるた国家を水平的なコネクティビティの観点から再考する。具体的には、コネクティビティが国家をいかに支えてきたかを巨大帝国を支えたエリートのネットワークを可視化し、また、国家間のコネクティビティがムスリム社会にもたらしたか、諸国家間の関係とイスラーム共同体との理念との相関を検討する。個別王朝史を越えたイスラーム国家論、歴史的実態に即した新たなイスラーム世界論の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、2024年度に刊行予定のイスラーム信頼学シリーズ第5巻『権力とネットワーク』のための準備と国内外の研究者の知見を取り込むことに努めた。具体的には、12月10日、九州史学会と共催でシンポジウム「イスラーム国家体系と国際法」を開催し、比較法制史、国際法学との接点をさぐる機会となった。また、海外の最新の研究成果を取り入れるべく、Han Hsien Liew, Andras Barati, Orcun Okan3名の海外の若手研究者を招へいして、国際ワークショップを9回開催した。オーストリア・ウィーンでの国際会議も共催、トルコ、モルドバ、アゼルバイジャン共和国、ウズベキスタン、イギリスで資料調査を行った。 具体的に明らかになった点は以下の通り (1)古典的なカリフ論、スルタン論では捉えられない現実 本研究は近世に焦点をあてて、その国家体系を解明しようとしてきたが、そのなかで、古典的なカリフ論やスルタン論では理解できない、近世特有の問題が明らかになりつつある。加えて、最新の研究によれば中世や近現代についても、古典的な静的な議論ではとらえられない現実が明らかとなった。 (2)近代主権国家体系との対比の必要性と相違点 1648年のウェストファリア条約を起点とする主権国家体系が国際政治や国際法の分野では常識とされているが、近世のイスラーム圏においても、類似の国家体系を想定することが可能であることがわかってきた。ヨーロッパにおいて国家がローマ教皇や神聖ローマ皇帝の権威から離れ、個々の領主権を抑えることで、歴史の主役となってきたとするならば、比較的大規模の国家が並立し、それぞれの国家がカリフ的呼称を利用するようになる近世のイスラーム圏も、また類似の状況にあったといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際ワークショップや国内シンポジウム、国際シンポジウムを開催して、最終年度に向けて、十分な議論をすることができた。議論の方向性が定まり、具体的な研究成果のかたちも、おおよそ見えてきた。あとは最終年度の研究成果のとりまとめに向けて、努力するだけであるため。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果のとりまとめ、発信に尽力する。まず、まとまった成果として、東京大学出版会の和文シリーズ「イスラームからつなぐ」の第5巻『権力とネットワーク』の執筆、編集、刊行を行う。研究代表者が編集、研究分担者・研究協力者が執筆し、これまでの成果をきちんとした形で示す。隣接分野の研究者を巻き込んだシンポジウムを開催し、研究成果をより広い学問的な議論につなげる。また、海外の学会での報告、英語での論文執筆など、国際発信に努める。
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