研究領域 | イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築:世界の分断をのりこえる戦略知の創造 |
研究課題/領域番号 |
20H05830
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2023-2024) 東京外国語大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
熊倉 和歌子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80613570)
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研究分担者 |
永崎 研宣 一般財団法人人文情報学研究所, 人文情報学研究部門, 主席研究員 (30343429)
MALLETT Alexander 早稲田大学, 国際学術院, 准教授(任期付) (30832472)
後藤 寛 横浜市立大学, 国際教養学部(都市学系), 准教授 (40333710)
篠田 知暁 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 講師(非常勤) (50816080)
新井 和広 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (60397007)
伊藤 隆郎 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (60464260)
石田 友梨 岡山大学, 社会文化科学学域, 特任准教授 (60734316)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
92,170千円 (直接経費: 70,900千円、間接経費: 21,270千円)
2024年度: 17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
2020年度: 24,440千円 (直接経費: 18,800千円、間接経費: 5,640千円)
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キーワード | デジタル人文学 / 人名録 / ネットワーク分析 / 可視化分析 / イスラーム / ネットワーク / コネクティビティ / 信頼 / 人文情報学 / デジタルヒューマニティーズ / TEI / イジャーザ / 師弟関係 / イスラーム史 / 地理情報システム(GIS) / コネクテビティ分析 / 信頼・トラスト / デジタル・ヒューマニティーズ/人文情報学 / 中近世イスラーム史 / プロソポグラフィ |
研究開始時の研究の概要 |
イスラーム文明においては、膨大な量の人名録(伝記集)が著され、その多くが今に伝わっている。ある時代にまとめられたそれらの人名録の中には、同じ時代を生きた知識人たちがどのような学問生活を送っていたかということや、聖者がどのような奇蹟を通じて人々の信頼を得ていったか、また名家がどのような婚姻関係を取り結び影響力をつけていったかといった情報が埋め込まれている。本研究は、これらをデジタル・ヒューマニティーズの新たな手法を用いて、一挙に分析しようとするものである。テキストに埋め込まれた関係性の集合を可視化し、そこからイスラームにおけるコネクティビティや信頼構築のあり方を分析するのが、本研究の狙いである。
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研究実績の概要 |
本研究課題は人名録に基づく人間関係の可視化分析の方法を開拓することを目的に据えてきた。その中で昨年度(2022年度)は、可視化分析の有効性への批判的検証を進めてきた。私たちが扱う歴史資料から得られる情報は、現代社会において得られるデータセットとは異なり、不完全なものである。そうした資料から一定の基準で抽出したデータを可視化した場合に見えるものは、何らかの偏りを持つ。これまでの段階においては、それぞれの歴史資料からどういった情報が得られ、それらをどのように可視化できるかという議論が中心的になされてきたが、不完全な情報を可視化分析する意義について批判的検証が加えられた。
この議論を踏まえ、今年度は各自のテキストの性質と特徴を考慮に入れながら、これまで検討してきたテキスト分析の手法を実践し、手法のさらなるブラッシュアップと、関係性の解明に取り組んできた。
主要な研究活動として、ブックシリーズ「イスラームを知るシリーズ」の担当巻の刊行に向けて編集会議を行い、各自の研究状況を共有した。また、研究協力者のマキシム・ロマノフ氏(ハンブルク大学)を招聘し、デジタルヒューマニティーズの研究手法に関するワークショップを開催し、研究手法の習得と個人研究への応用を目指した。これらの研究活動を通じて、コネクテビティ分析のためのデジタル人文学的手法については、一定のノウハウが蓄積されたと言える。その成果の一つとして、本研究課題の研究分担者と協力者の多くが執筆者として名を連ねた須永恵美子・熊倉和歌子編『イスラーム・デジタル人文学』(人文書院)が2024年2月に刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究分担者と協力者のこれまでの成果が、須永恵美子・熊倉和歌子編『イスラーム・デジタル人文学』(人文書院)として刊行された。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、本プロジェクトが取り組むブックシリーズ「イスラームを知るシリーズ」の担当巻の刊行に向けた執筆・編集のための研究会と作業を進めていく。その中で、以下の2点について、可能な限り追究していきたい。 1)可視化されるコネクテビティがイスラーム的なものであるかどうか?それをどう分析するか? 2)コネクテビティ分析を通じて、本研究課題のもう一つの柱である信頼の問題にどのように迫っていくか?あるいはコネクテビティ分析のみに留まるのか? 1点目について。コネクテビティのあり方を可視化できるようにはなったが、イスラーム的なコネクテビティのあり方を抽出するためには、非イスラーム的なコネクテビティとの比較が必要である。本研究課題が前提とする、イスラーム的なコネクテビティが実際にあるのかどうかも含めて検討する余地がある。 2点目に関しては、つながっていることと信頼があるということは必ずしも同義ではないという前提に基づく問題である。信頼の問題に切り込むには、つながりのあり方を可視化するだけでは不十分である。では、どう迫るのか?あるいは迫ることができないのか?この点についても検討が必要である。
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