研究領域 | 動的エキシトンの学理構築と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
20H05837
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 克明 京都大学, 化学研究所, 助教 (90747859)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2022年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2020年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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キーワード | 動的エキシトン / 固体NMR / 非晶 / 有機EL / 有機薄膜太陽電池 / 有機太陽電池 / 時空間解析 / 有機デバイス |
研究開始時の研究の概要 |
固体核磁気共鳴法(固体NMR)は、幅広い固体材料に対して原子レベルの分解能で構造・運動情報を与えてくれる優れた解析手法である。本研究では、固体NMRを用い、動的エキシトンを形成する種々のドナー-アクセプター(D-A)構造体について、その構造や運動の精密解析を行う。これらの研究により、電子励起状態、電荷分離など、動的エキシトンのダイナミクスと、材料の動的構造との相関解明に取り組む。相分離構造や分子コンフォメーション、またそれらの運動性を含めた包括的な精密解析を通し、領域内の共同研究により、D-Aモデル系、有機デバイス、合成および生命機能開拓に向けた、動的エキシトンの学理構築を目指す。
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研究実績の概要 |
熱活性遅延蛍光(TADF)材料におけるドナー部位、アクセプター部位のねじれ角は、HOMO-LUMOの重なり、最低一重項-三重項エネルギー差、スピン軌道相互作用を決定する、非常に重要なパラメーターである。しかしこれまで、このねじれ角を実験的に決定することは難しかった。本年度は、A03梶との共同研究を進め、熱活性遅延蛍光(TADF)材料のコンフォメーション解析を進めた。固体DNP-NMRを用いることにより、同位体ラベルすることなく、ドナー-アクセプター間のねじれ角を定量的に求める手法を開発した(J. Am. Chem. Soc., 2023, 160, 145, 16324-16329)。 さらにドナーアクセプター型のTADF材料について、その連結部にあるベンゼン環の運動と発光特性の相関を解明するために、重水素化ラベル化したTADF分子を合成し、これら材料のNMR測定から、その運動性を評価を進めた。 また、これまで1次元で展開してきたNMRのノイズ除去法を2Dに展開した。本手法を用いることによりNMR解析の精密化、測定時間の短縮、使用サンプル量の低減が期待されるだけでなく、他の測定手法にも展開可能と期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主に、A03梶グループ(G)との共同研究を進め、TADF分子のねじれ角解析法の確立に成功した。また、A01班今堀GTADF材料のパッキング構造解析に関して超高速MASを用いた解析を進めている。 ノイズ除去法についてはこれまで1Dの測定結果にしか適用できなかった手法を2Dに展開することができた。 解析に関しては、測定データは得られたもののノイズが多く詳細な解析が困難であった。そこで新たな展開としてNMRのノイズ除去法を開発にまで至った。この手法はESR等のNMR以外の測定法にも展開可能である。 以上のことから研究はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は主に、申請書記載の研究課題のうち、非晶膜系におけるコンフォメーション解析、D-A混合膜における構造解析を主に行う。以下に具体的な研究計画を示す。 1)D-A混合膜における構造解析 昨年度までにA01今堀、A03家グループ(G)から提供された、有機半導体材料の固体NMRによる凝集構造解析を行ってきた。本年度は超高速MASを用いたより、スタッキング構造やD-A界面構造に関する詳細な解析を行う。 2)TADF材料の微小振動解析 これまでにA03梶Gより、本来起こり得ないCT性三重項からCT性一重項への逆交換交差が、励起子の動的効果により極めて効率よく進むことが報告されている。そこで本年度は梶Gとの共同研究としてTADF分子の動的効果について、固体NMRを用いた実験的検証を行う。また、現在開発を進めているノイズ除去手法を展開し、非晶膜中における発光物性に大きな影響を与えるTADF分子のねじれ角の分布の実験的解明を進める。 3) 昨年度、我々は動的核偏極(DNP)固体NMRを用いた非晶膜中におけるコンフォメーション解析手法を構築し、論文化を行った。本年度は、この手法をA01班アルブレヒトGが開発してきたデンドリマー材料に展開し、これら材料の構造解析を進める
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