研究領域 | 動的エキシトンの学理構築と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
20H05839
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 名古屋大学 (2023-2024) 京都大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
東 雅大 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (20611479)
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研究分担者 |
杉山 佳奈美 京都大学, 工学研究科, 助教 (70974377)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
58,890千円 (直接経費: 45,300千円、間接経費: 13,590千円)
2024年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2022年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2021年度: 23,530千円 (直接経費: 18,100千円、間接経費: 5,430千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 動的エキシトン / ドナー・アクセプター相互作用 / 量子化学計算 / 分子動力学シミュレーション / スピン軌道相互作用 / 環境効果 / 溶媒効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、独自の高精度理論解析手法を発展させて動的エキシトンの理論を確立する。これまでのドナー・アクセプター相互作用に関する数多くの理論研究では、定量的に実験結果を再現できたものはほとんど存在しなかった。そこで、独自に開発してきた量子化学計算と分子動力学シミュレーションを効率的に結び付ける高精度解析手法に相対論効果を導入し、動的エキシトンも高精度解析が可能な量子化学反応ダイナミクス計算法を構築して、動的なドナー・アクセプター相互作用による機能発現機構を理論的に解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、独自の高精度理論解析手法を発展させて動的エキシトンの理論を確立し、動的なドナー・アクセプター相互作用による機能発現機構を理論的に解明することを目的とする。本年度は、昨年度に引き続き、A01今堀、A02小堀、A02山方、A03家らと協力して非フラーレン型アクセプター分子の薄膜状態における構造の解析を行った。ITIC及びITIC類縁体の薄膜状態におけるスタック構造を解析したところ、側鎖の違いによりV字型の構造の割合に違いが見られた。これまでの我々の研究で、V字型のスタック構造が効率的な電荷分離状態生成に重要であることが明らかになっており、その違いが電荷分離効率の違いに影響していると考えられる。また、A02小堀、A01羽曾部(前期公募班)らと協力してリンカーで結合されたペンタセン二量体におけるシングレットフィッション過程の解析を行った。Broken-Symmetryを用いた密度汎関数法による計算の結果、電子エネルギーでは五重項状態より一重項状態が安定になる一方で、振動や多重度を考慮した自由エネルギーでは五重項状態が安定化した。すなわち、振動の寄与が五重項状態の安定化に重要であることを明らかにした。さらに、A01堀内らと共同で遷移金属錯体を内包した複合体結晶の光物性の解析を行った。堀内らが合成した複合体結晶は生成条件によって結晶構造と色が変わるが、その理由は不明であった。QM/MM計算を用いて光物性を解析した結果、遷移金属錯体の配位子間のπ-πスタッキング相互作用の有無により吸収波長が変化することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も領域内での共同研究を積極的に進め、非フラーレン型アクセプター分子の薄膜状態の構造やペンタセン二量体におけるシングレットフィッション過程における振動の効果、結晶構造の違いによる光物性の変化などについて新たな知見を得た。研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、動的なドナー・アクセプター相互作用による機能発現機構の解析を進める。次年度は特に、結晶や薄膜、溶液などの凝縮系における光物性の高精度理論解析手法の開発に注力する予定である。また、今後も計画班や公募班との領域内共同研究を積極的に行い、理論化学・計算化学の面から領域の推進に貢献する。
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