研究領域 | 動的エキシトンの学理構築と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
20H05843
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三ツ沼 治信 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (20823818)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,420千円 (直接経費: 33,400千円、間接経費: 10,020千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2021年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2020年度: 15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
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キーワード | 動的エキシトン / 光増感分子 / アルカン / sp3C-H結合活性化 / 有機金属 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、光増感分子触媒により生成する光電荷分離状態を利用した有機合成を「動的エキシトン」の概念の発展系と捉える。そこで近年、アトム・ステップエコノミーを満たす理想的な分子変換法として注目されている触媒的sp3C-H結合官能基化反応に着目した。既存の光増感分子触媒では光エネルギーを効率的に利用できておらず、反応形式が限定的であった。今回、動的エキシトンを利用した光増感分子触媒を活用することで単純アルカンを基質としたsp3C-H結合の有機金属種への変換を基軸とする分子変換を目指す。
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研究実績の概要 |
動的エキシトンを利用した光増感分子触媒を活用することで単純アルカンを基質としたsp3C-H結合の有機金属種への変換を基軸とする分子変換を目指すこととした。本研究を達成するためには安定なアルカンのsp3C-H結合を引き抜き、さらに低原子価遷移金属種を生成させることが必要である。このような反応系を実現するには、既存触媒では達成困難であった電荷分離状態の寿命と量子収率を実現することが必要である。前年度までに見出した分子間ドナー・アクセプター分子を利用した電荷移動錯体を用いることで本提案の当初の目的である高活性な触媒種の生成に成功している。今年度はケトンのアリル化に応用するため、金属触媒の検討を行ったところ、電子豊富なクロム錯体を用いたところ、高い反応性を示すことを見出した。本触媒を用いたところ反応は芳香族ケトンにて高収率で進行しただけでなく、脂肪族ケトンに対しても適用が可能であった。またルイス酸を添加剤として加えることで変換効率が向上することが明らかになった。ルイス酸の添加により、ドナーアクセプター間の電子移動効率や、炭素結合形成反応の反応速度が向上したことが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに見出した分子間ドナー・アクセプター分子を利用した電荷移動錯体を用いることで本提案の当初の目的である高活性な触媒種の生成に成功している。今年度はケトンのアリル化に応用するため、金属触媒の検討を行ったところ、電子豊富なクロム錯体を用いたところ、高い反応性を示すことを見出した。またルイス酸を添加剤として加えることで変換効率が向上することが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を達成するためには安定なアルカンのsp3C-H結合を引き抜き、さらに低原子価遷移金属種を生成させることが必要である。このような反応系を実現するには、既存触媒では達成困難であったエネルギーレベルの高い電荷分離状態を作り出し活性種を生成することが求められる。前年度までに申請者は電子豊富なクロム錯体を用いることで所望のケトンのアリル化反応が進行することを見出している。一方で反応の進行につれ、金属触媒の分解が見られ、反応が完全に停止してしますことが示唆されている。そこで今後は金属触媒の安定化と共に、ドナーアクセプター錯体の光吸収の長波長化に取り組み、活性触媒の分解を防ぐことに取り組む。
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