研究領域 | ダークマターの正体は何か?- 広大なディスカバリースペースの網羅的研究 |
研究課題/領域番号 |
20H05852
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村瀬 孔大 京都大学, 基礎物理学研究所, 特任准教授 (00839433)
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研究分担者 |
藤井 俊博 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50706877)
廣島 渚 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (60845741)
山中 真人 法政大学, 理工学部, 助手 (70585992)
成子 篤 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定助教 (80749507)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
55,380千円 (直接経費: 42,600千円、間接経費: 12,780千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2022年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2021年度: 14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2020年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 素粒子(理論) / 宇宙線(理論) / 宇宙物理(理論) / ダークマター / マルチメッセンジャー / ガンマ線 / 宇宙線 / 理論天文学 / ニュートリノ / ダークマターハロー / 超高エネルギー宇宙線 |
研究開始時の研究の概要 |
ダークマターの正体は究極の謎の一つであるが、その質量はTeVよりもずっと重く、電弱相互作用と強い相互作用の統一が期待される大統一スケール や量子重力が重要になるプランクスケールに近い可能性がある。人工の加速器で到達できるエネルギースケールを超える質量を持つような重いダークマターはその粒子数密度が少なく直接検出も困難と考えられており、探索には宇宙線やニュートリノ、ガンマ線や重力波を用いた間接検出が鍵となる。本研究では、急速に発展しつつあるマルチメッセンジャー観測のデータを最大限に活用し、重いダークマターの理論への新たな知見を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
重いダークマターの崩壊や対消滅によって作られた高エネルギーガンマ線は周囲の光子場と相互作用して電磁カスケードを起こし、より低いエネルギーのガンマ線を作る。銀河団や矮小銀河はダークマターの間接探査に有効な天体である。我々はフェルミ衛星によって得られた14年のガンマ線データを解析しつつ、重いダークマターの対消滅や崩壊によって生まれるガンマ線やレプトンのスペクトルを計算し、更にガンマ線の伝搬コードを適用して遠方銀河から地球に到達するまでのスペクトルへの影響も考慮した。矮小銀河の解析においては前年度に構築したダークマターサブハローの質量関数の性質を記述する定式化も利用した。これまでの探査では主にダークマターからの直接的なガンマ線に着目していたが、MAGICやHAWCの観測による制限よりも強い制限を、フェルミ衛星のデータから我々の詳細な計算を通して得ることができた。 すばる望遠鏡のCCDには大量の宇宙線空気シャワー粒子が入射しているため、その画像が取得される可能性があることを見出した。すばる望遠鏡HSCのデータに入射した宇宙線空気シャワーの解析を行い、前例のない位置分解能での空気シャワー粒子の撮像に成功した。この発見は、幅広い研究領域での融合から生まれた成果と言える。 極めて弱い相互作用を持つダークマターの探索において、天然の鉱物結晶は地質学的時間スケールで稼働しているため、少量でも十分な露出量が期待できるターゲット物質として期待されている。天然白雲母の中に存在するダークマター由来の原子核反跳の痕跡を探る実験の基礎づけを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの影響により、ポスドクのDas氏とSong氏の雇用が遅延したが、重いダークマターの粒子の寿命や対消滅断面積について、超高エネルギーニュートリノ背景放射観測を用いた制限と、銀河団と矮小銀河についてFermiによるガンマ線データを用いた制限を行い、成果をまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
マルチメッセンジャー観測から得られたダークマターへの制限を宇宙論的な制限と比べつつ、ダークマター生成機構への示唆を議論する。
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