研究領域 | 高密度共役の科学:電子共役概念の変革と電子物性をつなぐ |
研究課題/領域番号 |
20H05867
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹延 大志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70343035)
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研究分担者 |
熊井 玲児 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (00356924)
関 修平 京都大学, 工学研究科, 教授 (30273709)
福井 識人 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (70823277)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
160,680千円 (直接経費: 123,600千円、間接経費: 37,080千円)
2024年度: 30,810千円 (直接経費: 23,700千円、間接経費: 7,110千円)
2023年度: 32,760千円 (直接経費: 25,200千円、間接経費: 7,560千円)
2022年度: 28,080千円 (直接経費: 21,600千円、間接経費: 6,480千円)
2021年度: 21,580千円 (直接経費: 16,600千円、間接経費: 4,980千円)
2020年度: 47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
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キーワード | 分子性固体 / 物性実験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,A01・A02・A04班により高密化・集積化された高密度共役分子集積体に対して様々な物性測定を行い,π共役を超える新しい分子間共役である“X”-conjugationを検証・確立する。具体的には,Only One計測評価技術と化学的な知見を組み合わせ,新物質の超高速定量評価とスクリーニングを目指す。蓄積した情報はA01・A02班にフィードバックし,機能開拓に適した集合体を実現する。併せて,領域内共通装置を核とした高密度共役物性評価支援拠点をA04班と形成し,領域内共同研究を通して,構造・光・伝導・熱・磁気特性を最適化し,“X”-conjugationの本質を解き明かす。
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研究実績の概要 |
本研究は,A01・A02・A04班により高密化・集積化された高密度共役分子集積体に対して様々な物性測定を行い,新しい分子間共役である“X”-conjugationを検証・確立する。2022年度は,基礎物性解明と「高次複合解析法」の基盤確立に取り組んだ。以下に成果を示す。 光電子素子形成・評価(竹延・福井) 1) キャリア伝導・光・熱・磁気物性の解明:歪の効果をピエゾ効果により観測するPFM顕微鏡にて観測する方法を構築した。2) 電気化学・電気二重層トランジスタを用いた超高密度キャリア蓄積:昨年度中に導入した物理特性測定システムを駆使し,低温において電解質を凍結させつつ、通常のトランジスタ構造を用いて伝導特性を解明する手法を構築した。これにより、ホール効果測定結果の妥当性を評価可能になった。 環境制御下超微細構造評価(熊井):放射光X線回折による高密度共役の可視化のための、領域内で合成された物質における電子密度分布解析を検討した。具体的には、昨年度に引き続き、A01班忍久保、福井との共同で、放射光X線回折によって、電子求引性置換基を有するノルコロールの積層二量体中におけるπ電子の可視化を行なった。加えて、A02班久保、A04班福島、庄子らと共同で、放射光マイクロビームを用いたX線回折および、クライオ電子顕微鏡による電子線回折を実施し、微小結晶の構造解析を行った。 超高スループット電子伝導・スピン輸送複合評価(関): 昨年度に引き続き、高次複合解析法に向けた測定装置・技術の設計・開発を順調に展開しており、A01班忍久保、福井、A02班酒巻、久木、芥川と共同で、新規高密度共役分子の電荷輸送特性の評価を行った。並行して、領域内計画研究・公募研究と連携を深め、電子輸送現象の定量評価をもとに、“X”-conjugation状態の接近において、電子状態密度の特異点を見出しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度は、竹延・福井が打ち出す戦略のもと,竹延・熊井・関がOnly One計測評価技術を活かした基礎物性解明と「高次複合解析法」の基盤確立を目標としていた。以下に,各研究項目の進捗状況を示す。 光電子素子形成・評価(竹延・福井) 1) キャリア伝導・光・熱・磁気物性の解明:伝導・光・熱・磁気物性の評価を目標としており、2022年度は、これまでの技術を活かした基礎物性解明だけではなく、昨年度までに開発した「高次複合解析法」である歪みによる構造変調を、ピエゾ効果を用いたPFM顕微鏡と組み合わせ、構造変調とnmスケールでの観察を両立させた新たな測定技術を、原子層材料に適用し、歪んだ二層原子層材料におけるモアレ超格子の観察に成功した。新たな「高次複合解析法」が早くも成果につながりつつあり、当初の計画以上に進展したと言える。2) 電気化学・電気二重層トランジスタを用いた超高密度キャリア蓄積:高密度なキャリア蓄積は竹延が得意とするところだが、低温において一般的なゲート構造と両立させる新たな「高次複合解析法」の確立に成功しており、こちらも当初の計画以上に進展したと言える。環境制御下超微細構造評価(熊井):本研究課題の最終目標の一つである高密度共役の可視化に不可欠である電子密度分布解析に必要な回折データ測定を継続しており、順調に進展している。 超高スループット電子伝導・スピン輸送複合評価(関): 高次複合解析法の設計・開発が予定通りに進んでいる。並行して、これまでの技術を用いた成果も順調に得られている。
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今後の研究の推進方策 |
A01・A02・A04班により高密化・集積化された高密度共役分子集積体に対する様々な物性測定により得られた成果があがっている。加えて、領域発足後に新たに開発した「高次複合解析法」による成果があがり始め、当初の計画以上に進展している。今後も、当初の研究計画に従って推進する。
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