研究領域 | 高密度共役の科学:電子共役概念の変革と電子物性をつなぐ |
研究課題/領域番号 |
20H05870
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
須田 理行 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80585159)
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研究分担者 |
田中 久暁 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50362273)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
52,780千円 (直接経費: 40,600千円、間接経費: 12,180千円)
2024年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2023年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2020年度: 21,970千円 (直接経費: 16,900千円、間接経費: 5,070千円)
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キーワード | スピントロニクス / キラリティ / キラリティ誘起スピン選択性 / キャリアドーピング / CISS効果 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / ファンデルワールス超格子 / スピン偏極電流 / 超伝導 / 電気化学 / 水電解 / 高密度共役 / キラル分子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,「空間反転対称性の破れによるスピン選択性」という新たな原理に基づき,有機分子による電流/スピン流変換システムを創出する。ここでは螺旋分子密度,螺旋ピッチ,螺旋半径が電流/スピン流変換の主たるパラメータであり,これらの最小化が変換効率の向上へと繋がる。従来の電流/スピン流変換学理を変革し,既存の材料を凌駕する破格に高い効率による電流/スピン流変換を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究では、「空間反転対称性の破れによるスピン選択性(CISS効果)」という新たな原理に基づき、有機分子による電流/スピン流変換システムを創出することを目的としている。 本年度は、二次元層状物質へのキラル分子インターカレーションによるキラル伝導体の創製という新たな着想の元、キラリティと高い伝導性を併せ持つキラルファンデルワールス超格子を創製し、スピン偏極率約95%のほぼ完全なスピン選択性を実現した。 更に、本材料によって生成される高スピン偏極電流を電気化学分野へと応用するスピン依存電気化学の実証に取り組んだ。実際に、スピン偏極電流中においてスピンが平行に揃っていることを利用し、スピン多重度選択的電気化学反応の実現に取り組んだ。具体的には、スピン三重項酸素とスピン一重項過酸化水素の生成が競合する水電解における酸素発生反応において、スピン三重項酸素を優先的に生成し、水電解効率を向上させることに成功した。更に、スピン偏極電流がキラリティを持つことを利用したスピン偏極電流によるエナンチオ選択的電気化学反応の創出にも取り組み、実際にスピン偏極率に依存したエナンチオ選択的電気化学反応を実現した。 また、キラリティを導入した共有結合性有機構造体(COF)の創製にも取り組んだ。リンカー分子のねじれ角度を制御したいくつかのCOFを合成し、そのスピン選択性を評価した結果、リンカー分子のねじれ角とスピン選択性の間に生の相関があることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、二次元層状物質へのキラル分子インターカレーションによるキラル伝導体の創製という新たな着想の元、キラリティと高い伝導性を併せ持つキラルファンデルワールス超格子を創製し、スピン偏極率約95%のほぼ完全なスピン選択性を実現するなど、当初の目的であった、電流/スピン流変換効率の向上という目的をほぼ達成した。 更に、キラリティを導入した共有結合性有機構造体(COF)の創製にも取り組み、リンカー分子のねじれ角とスピン選択性の間に生の相関があることを見出すなど、新たなスピン偏極材料の設計指針を見出すことができ、おおむね順調に研究計画を遂行することができたと考えらえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に達成した二次元層状物質へのキラル分子インターカレーションや共有結合性有機構造体へのキラリティ導入について、各種パラメータの最適化を行い、100%のスピン偏極率を目指す。
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